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シンガポール、日本とのビジネストラック開始、オンラインセミナーは700人以上が視聴

  • 2020年10月7日

 シンガポール政府観光局(STB)は9月30日、ウェビナー形式で「シンガポール・オンラインセミナー」を開催。セミナーでは新型コロナウィルスの感染状況や感染防止対策、旅行需要動向、観光施設・航空路線などに関する最新情報が紹介され、旅行業界関係者ら約700人以上が視聴した。

チーペイ氏

 セミナーの冒頭でSTBのチャン・チーペイ副長官が挨拶。「シンガポールの感染状況は、死者27人、致死率0.1%以下で世界的に見て極めて低い水準にある。現在は緊要な渡航を目的とした旅行者を対象に、いくつかの国と相互グリーンレーン協定を締結し、慎重かつ責任ある方法で段階的に国境を再開している。日本・シンガポール二国間においても商用・公用を目的とした渡航者対象の相互グリーンレーン(ビジネストラック)に加え、駐在員などが対象のレジデンストラックを本日開始した。日本とってシンガポールは初のビジネストラック相手国となったが、今後レジャーの海外旅行再開を見据えるうえで大きな前進だ」と日本との交流再開に期待を示した。

 チーペイ副長官はこのほか、ブルネイとニュージーランドからは短期レジャー客を含むすべての訪問者の受け入れを再開し、国内向けには4500万シンガポールドル(約35億円)を投じたリカバリー・キャンペーンをスタートするなど、旅行需要回復が着実に前進している状況も報告された。

鎌田氏より入国規制緩和について説明

 次いでSTBの鎌田光記氏がビジネストラックについて説明。9月18日にスタートしたビジネストラックに基づきシンガポールを訪れる際には、日本出発前にシンガポール企業または政府機関に身元保証人になってもらったうえで、保証人が渡航者に代わりセーフトラベルパス(安全渡航許可証)を申請し認証を受ける必要がある。

 また出発前72時間内に受けたPCR検査の陰性証明書、健康申告書、行動計画書の提出も義務付けられる。さらにシンガポール入国後は空港の専用施設でPCR検査(自費)を受けて検査結果が出るまでは申告済みの滞在先(ホテルなど)で1~2日間待機。陰性の結果を確認したうえで接触追跡アプリをインストール、起動すれば行動計画に沿って行動できる。

接触追跡アプリなどの導入など安全対策や衛生管理も万全にしているという

 シンガポールの国内感染状況については2カ月間、重症者ゼロが続き新規感染者数も10~20人台が続いており、収束に向かいつつあることや、営業時間や人数の条件はつくものの、ほとんどの経済活動が再開していることなどが報告された。また「サーキットブレーカー(緩やかな外出制限)が6月1日に解除された後は、フェーズ1(安全な再開期)を経て、現在は徐々に制限を解除していくフェーズ2(安全な移行期)にあるが、次のフェーズ3(安全な国へ)への移行も見えてきている。状況を見つつ引き続き規制緩和を進めてワクチン又は治療法確立まで続けるフェーズ3のロードマップ策定も政府が開始しており、間もなく移行するだろう」との見通しも明らかにした。

 STBはMICEの再開にも取り組んでおり、リアルとバーチャルを組み合わせたハイブリッド型イベントとして「TravelRevive」を11月下旬に開催する予定で、コロナ禍のもとでも新たな形のMICEにトライしていく考えだ。またSTBではMICEのオーガナイザーや取扱旅行会社への特別支援スキームも各種用意しMICE需要の回復後に備えている。

7月にはシンガポール在住の日本人ユーチューバーのグルメ・ライブ・ライブなども開催し現地の魅力を発信した

 STBの吉田明子氏からはPR活動と観光の最新情報について説明。7月と8月には、人々が自粛生活を続ける中で食への関心を高めていることに着目し、オンラインキャンペーンの第一弾として食がテーマの動画配信などを実施したことなどを報告した。

 また現地最新情報として、マリーナ・ベイ・サンズで9月10日にオープンしたアップル社の水上店舗が観光の新名所にもなっていることや、「グレートシンガポールセール2020」(9月4日~10月10日)を初のバーチャルイベントとして開催していることが挙げられた。さらに日本市場ではJTBと共同でシンガポールをオンラインで体験する「シンガポールバーチャルツアー」を開発し9月から催行していることも紹介した。

SQは最新の運航スケジュールや機内での安全対策を案内

 シンガポール航空(SQ)のプレゼンテーションでは、シンガポール/日本の運航状況が説明され、現在は成田便を週3便、関空便を週2便運航しており11月3日からは関空便を週3便に増便するとした。搭乗前後の感染防止策も説明され、たとえば空港ラウンジでは携帯端末を使ってアラカルトのメニューをオーダーできる新たな仕組みができたほか、機内食をデジタルメニュー化するなど非接触対応を進めていることを強調した。

柴田氏

 セミナーの閉会に際してSTB日本支局長の柴田亮平氏は、「このような状況下でオンラインとはいえ皆さんとつながれたことを嬉しく思う。しかしリアルな交流を提供する仕事に携わる者として、本当の旅の醍醐味は人と人の触れ合いにあると考えている。STBとしても感染収束後に起死回生を目指すリカバリー・キャンペーンを用意している。いずれ顔と顔を合わせて皆さんと会える日を楽しみに待っている」と挨拶。海外旅行復活への期待を述べた。

※訂正案内(編集部 2020年10月8日12時30分)
訂正箇所:第7段落第1文
誤:リアルとバーチャルを組み合わせたハイブリッド型イベントとして「ITBアジア2020virtual」を10月下旬に開催する予定で

正:リアルとバーチャルを組み合わせたハイブリッド型イベントとして「TravelRevive」を11月下旬に開催する予定で
お詫びして訂正いたします。