【コラム】ますます落ちる航空需要予測、我々はどうやって生き延びるのか
先日、IATAが2020年の通年旅客予測を66%減へ、これまでの予測より3%下方修正しました。北半球の夏の旅行シーズンが不振だったことの影響です。新型コロナウイルス感染症の航空業界への影響は依然として落ち着く様子もなく、苦しい状況が続きます。国際線に関して言えば、いくら観光や出張のニーズが存在していても入国や帰国後の隔離要求が撤廃されない限り、止むに止まれぬ事情がある人以外は海外へ行かないわけで、IATAの予測下方修正は当然のものと言えます。
しかし「予測が更に悪化して困ったね…」とため息を付くだけで済ませてはいられません。コロナの影響が落ち着くまで、海外渡航からの収入がほぼ見込めない状態でどうにか凌がなければなりません。政府からの補助金や助成金でどうにかなればいいのですが、会社の規模によってはそう大きな助けにはなりませんし、当然いつまでも政府の援助があるわけではなく、需要が戻るまで援助が続くと考えるのはあまりに楽観的な予測でしょう。
そうなると、海外渡航とは関係ないところで収益をあげていく必要があります。一番最初に思いつくのは、国内旅行から収益を上げることでしょう。国内手配の経験者がいることもあるでしょうし、そうでなくてもこれまでの業務で得た知見を活かせる機会は多くありそうです。GoToキャンペーンによる後押しもありますし、今週掲載した記事でも長崎県や五島市が行っている旅行会社が利用できる補助制度を紹介しましたが、他の観光地でも多様な補助制度が存在するでしょう。それらを活かせばそれなりの収益を上げることができるかもしれません。
もう一つは、旅行業とは全く関係ない事業を始めるという選択肢です。突飛な発想のように聞こえるかもしれませんが、タイではHISの現地法人が家電製品の販売を開始したとニュースにもなっていましたし、抗菌事業を開始された旅行会社様のお話なども聞こえてきます。旅行会社としての知見自体は活きないかもしれませんが、これまでの販路やお客様との関係性は活かせます。
ここまで読んで頂いた方からは「国内の需要だって全然ない!」「旅行とは関係のない事業のアイデアなんてそうそう浮かんでくるもんじゃない!」と、否定的なご意見もいただくであろうと思います。もちろんそのとおりで、そもそも新しいことを始めるというということは常に失敗と隣り合わせです。かのスティーブ・ジョブズですら、新規事業の成功率は3割だったと聞きます。それでも、生き残れる確率を上げるには何かを始める他ないでしょうし、そもそも新しいことを始めず、リスクを背負わずに未来永劫安泰な事業など存在しないはずです。「コロナのせいで」ではなく「コロナだからこそ」何かを変えてようと動くべきなのだろうと思います。