シンガポールの現状と旅行業界の展望(前編)-世界の「今」を駐在員の視点から
感染増も的確な対策で混乱なし
海外駐在員が現地の“今“を伝えるこのコーナー。今回はトラベルビジョンを運営するエフネスのシンガポール現地法人で代表を務める私、赤井亮太が担当し、これまでとは少し趣向を変えて、シンガポールの新型コロナウィルス感染状況や政府の対応、さらに旅行業界の今後の見通しについてお伝えしたいと思います。
そもそもシンガポールってどんな国?
コロナウィルスの状況をお伝えする前に、まずはシンガポールがどんな国か少しご紹介しましょう。
正式名称はシンガポール共和国で、1965年8月9日に建国されて今年で55年を迎えた歴史の浅い国です。面積は720平方キロメートルと東京23区と同程度で、2019年1月時点で人口が564万人(うち永住者が399万人であることから、約170万人は短中期の就労ビザを保有する外国人と考えられる)の小国です。第二次世界大戦時には、日本の植民地下に置かれたこともありますが、日本食、日本車、日本の電化製品、日本のアニメが大好きな親日国家でもあります。
歴史的には、シンガポール建国の父と言われるリー・クアン・ユーの指導の下、交易(元は石油の中継貿易港)で栄え、その後金融センターとして1980年から2010年にかけて急速に発展して現在に至ります。1人あたりGDPが約65,000 USドル(日本は約39,000 USドルなので、シンガポールは日本の1.6倍)となり世界でトップ10に入る世界有数の豊かな国となりました。
世界の1人あたりGDPランキング (2018)
ランク | 国 | GDP (単位米ドル) | 地域 |
---|---|---|---|
1 | ルクセンブルク | 115,536 | ヨーロッパ |
2 | スイス | 83,162 | ヨーロッパ |
3 | マカオ | 81,728 | アジア |
4 | ノルウェー | 81,550 | ヨーロッパ |
5 | アイルランド | 78,335 | ヨーロッパ |
6 | アイスランド | 74,515 | ヨーロッパ |
7 | カタール | 70,379 | 中東 |
8 | シンガポール | 64,579 | アジア |
9 | アメリカ | 62,869 | 北米 |
26 | 日本 | 39,304 | アジア |
購買力も高く、国際通貨基金(IMF)の2018年の統計によると1人当たり購買力平価GDPは日本の約2.3倍となっています。
世界の1人当たり購買力平価GDP 国別ランキング (2018)
ランキング | 国名 | 単位:USドル |
---|---|---|
1 | カタール | 129,638 |
2 | マカオ | 115,913 |
3 | ルクセンブルク | 106,372 |
4 | シンガポール | 101,387 |
5 | アイルランド | 79,617 |
12 | アメリカ | 62,869 |
31 | 日本 | 44,246 |
また、IT教育にも力を入れていることで知られ、小学生の早い段階からPCやタブレットでの授業を積極的に導入しています。そのため、コロナウィルスで休校になったときにも、すぐにシンガポール全土でOnline授業に切り替えられることができたほど、です。
私の子供も、小学4年次からiPadを持ち、授業もiPad、宿題もiPad、プレゼンもiPadで作成して行うほどです。この間は、わからない英単語に対して、辞書を引かずSiriに話しかけて聞いていました。。。時代は変わっていますよね(笑)