デルタ、安全安心をブランド価値に、全社一丸のコロナ対策を強調

  • 2020年7月27日
大隅氏

 デルタ航空(DL)は新型コロナウィルス感染症を機に新設部署「グローバル・クリーンリネス」を立ち上げ、新安全対策基準「デルタ・ケア・スタンダード」に基く旅客の安全確保を現在の最重要課題として取り組みを重ねている。旅客と従業員の安全を最優先し、あらゆるサービスの見直しに全社一丸で取り組む「デルタ・ケア・スタンダード」は、清潔・清掃の徹底をはかる「Cleanliness」、旅客同士の適切な距離を確保する「More Space」、より安全なサービス提供を工夫する「Safe Service」の3つのキーワードを軸として、6月16日に発表したもの。日本支社長の大隅ヴィクター氏は「安全・安心はデルタ航空の重要なブランド価値の一つに位置付けられる」とし、同社のコロナ対策関連情報を日本市場に対して積極的に発信していく方針を掲げた。

 その一環として21日には記者会見を開催し、大隅氏と日本地区空港本部長の田中勇三氏がコロナ対策全般について説明。それによると「デルタ・ケア・スタンダード」をベースに、DLと同じアトランタに本部を置くアメリカ疾病管理予防センター(CDC)の最新情報を取り入れ最新・最善の対応策をとっているという。

 具体的には6月から全従業員のPCR検査と抗体検査を実施しているほか、機内清掃を強化。従来は1晩駐機する場合に適用していた清掃項目を、折り返し便など数時間の駐機の際にも適用しチェック項目を20以上増やしている。機内清掃の徹底のために、手拭きでは難しい小さな隙間にも対応できる静電スプレーを使用した消毒作業を実施している。

 また、タッチレスサービスの強化も進めており、羽田空港では4月から新型の自動チェックイン機を導入し、手を触れず荷物タグを発行できるようにしたほか、セルフバゲージドロップ(自動手荷物預け機)も運用試験が完了し8月には本格運用を開始する見込みだ。搭乗手続きについても、顔認証によるセルフボーディングゲートを夏の間には導入する。

静電スプレーを実演する田中氏

 さらに旅客同士の物理的距離を確保するための座席制限を実施しており、日本路線ではエコノミークラスの中央席をブロックし「家族・友人等が隣席を希望した場合などを除き、他人が隣席に座らないよう対応している」(田中本部長)。また米国内線では座席使用率をファーストクラスで50%、メインキャビンとデルタ・コンフォートプラスとデルタ・プレミアムセレクトでは60%、デルタ・ワンでは75%に制限している。「日本路線の中央席ブロックは大変好評でDLを選んでいただく理由にもなっている」(大隅支社長)と市場が安全・安心を求めていることに確信を深めており、当初は6月末までの予定だった座席制限措置を9月末まで延長。10月以降の継続も検討しているとした。

 このほかDLでは安全・安心のブランド価値化を推進していく方針で、DLにとってトップ20の法人顧客・旅行会社を対象に安全対策内容を説明するオンラインセミナーを個別に実施している。今後は企業・旅行会社側の受け入れ態勢が整い要望があれば対面の説明にも積極的に取り組みたい考えだ。

 なおDLは7月現在、羽田/シアトル線の週4便、羽田/デトロイト線の週3便のみを運航しているが、8月からは羽田/ロサンゼルス線と羽田/アトランタ線の週3便運航を開始し、デトロイト線は週4便に増便する予定だ。また羽田空港の第3ターミナル北に7月に開設予定だった「デルタスカイクラブ」は工事が中断しいるが、「来年の東京五輪開催までには開設したい」(大隅支社長)との考えだ。