コロナ禍でも日本線の運航継続、その意義は-ルフト支社長に聞く

羽田/フランクフルト線を週3便で継続
オートリファンド停止に関する見解も

-羽田/フランクフルト線の現在の利用状況について教えてください

ブンケンブルク氏(2019年8月に撮影)ブンケンブルク 羽田発便は欧州各国に帰国する方々が中心だ。その多くが、さまざまな理由で日本での滞在を延長していた方々や、利用する予定だった他社便が欠航になってしまった方々だ。日本で働いていた日系ブラジル人で、フランクルフト経由でサンパウロに帰った方もいる。一方、フランクフルト発便は赴任地である欧州各国から帰国する日本人が多い。搭乗率については開示していないが安定していて、限定的とはいえ現在の入国規制を考慮すれば許容できるレベルと言える。

 ちなみにLHは旅客便に加えて、ルフトハンザ・カーゴによる貨物便も日本路線の運航を続けており、成田から週7便、大阪から週2便をB777-F型機で運航している。こちらは製薬企業やヘルスケア関連企業などの引き合いが増加しており、COVID-19の拡大後も需要は安定している。勿論、羽田/フランクフルト線の貨物スペースも有効活用している。

-利用者やスタッフの感染予防に向けた取り組みは

ブンケンブルク お客様と従業員の安全は最優先事項だ。一般的に機内の空気は上から下へと流れるので、ウイルスに感染する可能性は低いとされるが、機内には以前から、取り込んだ外気と、機内で循環している空気を清浄化するための高性能微粒子フィルターを搭載していて、ほこりや細菌、ウイルスなどの類はすべて除去している。フィルターの性能は病院の手術室で使用されているものに匹敵していて、むしろ地上の空気よりも安全と言えるのではないか。

 加えて事態を注視しながら、安全を最大限に確保するための予防策も講じている。機内クルーと地上スタッフにはマスクを配布し、5月4日からは乗客の皆様にもマスクの着用をお願いしている。必要な施策については、引き続き各国の航空当局と連携して迅速に対応するつもりだ。また、今回のCOVID-19の拡大以前からのことではあるが、ルフトハンザ・グループは機内清掃については、非常に高い衛生基準を設けている。

-需要回復の時期やシナリオ、回復後の市場についてどのように想定していますか

ブンケンブルク 多くの国々が引き続き人々の移動に対する規制を継続しているので、回復の時期を予測することは難しい。特にレジャー需要の回復には時間を要するだろう。しかし日本の旅行関係者の間では、秋頃には需要が回復し始めるとの意見も聞かれるので、我々はこの予測に加えて複数のシナリオを用意し、準備を進めたいと考えている。