宿泊前払い、「種プロジェクト」が始動、オンラインで宿泊施設を支援
「将来の宿泊のために、先に料金を支払っておきませんか」―。新型コロナウイルス感染症の拡大で大量キャンセル、新規予約の激減に見舞われている旅館ホテルを応援する「種プロジェクト」が4月から始まった。窮地に陥っている宿泊施設へ宿泊料金を前払いするもので、ウェブ上でサポートを呼びかけている。4月22日現在、31の宿泊施設、サポーター404人が登録している。
プロジェクトの発起人で事務局を運営しているのは、これまで多くの旅館のホームページなどを作成してきたウェブデザイナーの丹羽尚彦さん。本紙でコラム「CS宣言」を20年にわたって連載し、今号(トラベルニュースat4月25日号)から「未来への指標」がスタートした井門隆夫さん、温泉ビューティー研究家の石井宏子さんらも名を連ね、苦境に陥った宿泊施設を応援する種プロジェクトを立ち上げた。
運営は完全にボランティア。送客手数料など宿側の費用負担はない。旅館・民宿・ペンション・ホテル・ゲストハウスなど希望する宿泊施設は基本的にすべて登録できる。
宿泊施設側は、サポーターへのメッセージ、新型コロナが原因となった推計損失額などを記入しウェブサイトから直接申し込む。
サポーターになるためには事務局が作成、公開したサポートページから、応援したい宿泊施設をクリック。「泊まりに行きますよ」などの応援メッセージとともに、近い将来の宿泊料金の一部(1口5千円から)を前払いする。
サポーターへの告知や金銭収受は宿泊施設が直接行う。サポーターからの入金確認後、事務局が用意したサポーター前払証書をサポーターに送付。証書の有効期限は発行日から3年間で、「宿泊施設もサポーターも3年間はお互いにがんばろう!」というのが種プロジェクトの約束事だ。
「種プロジェクト」サイトのトップページ
丹羽さんは「今、私たちは泊まりに行きたくても自分が知らない間にウイルスの運び屋になってしまうかもしれない、という不安があります。しかし宿はお客さんがゼロでも毎月の支払いがあります。そこで働く経営者や従業員にも生活があります。そういった宿に今は行けなくても、近い将来泊まりに行くことができます。そのときの宿泊費用を今払っておくことで、今苦境の宿を応援することになるのがこのプロジェクトの目的です」としている。
現在登録している宿泊施設は北海道・東北6、関東4、中部・北陸17、近畿3、九州・沖縄1。サポート数は延べ404人で、サポート総額は1474万円。
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情報提供:トラベルニュース社