【コロナに負けず】エクスペディア・パートナー・ソリューションズの松尾裕美子氏
日本市場はしばらく国内に注力、海外は年末以降に期待
感染者減の中韓豪では国内旅行再開の動きも
松尾 業務渡航については、財務面で大きなダメージを受けている企業が多いので、少し時間がかかると見ています。また、今回の件でインターネットによるテレビ会議などがさらに普及したので、その利便性に気づいた企業も多いのではないでしょうか。
出張費用は経費として最も削りやすいので、回復の度合いは各社の体力や景気に左右される部分が大きいと思います。将来的にはある程度の水準にまで戻ると思いますが、場合によっては19年の50%くらいになってしまうかもしれません。
松尾 今はコールセンターも含めて全員が在宅勤務中で、無給休暇扱いのスタッフはいません。今後も、グローバルでの全体の方針もありますが、実施は国ごとの状況に応じて対応していくと思います。
日本オフィスの雰囲気には、特に悲壮感などはありません。現在はみなテレワーク中ですが、以前から取り組んでいましたし、テレビ会議にも慣れているので、いきなり職場環境が変わった感じはしません。パーティーやセミナーなどの社内イベントについても、しばらくはオンラインで実施しようという案が出ています。
エクスペディア・グループは今年1月にリストラを実施したばかりなので、今回の感染拡大によるダメージをいくらか抑えることができました。今後については、影響が長引けばさらなるリストラの可能性を否定できませんが、それはエクスペディアに限ったことではないと思います。
松尾 EPSの中国におけるパートナー企業で、国内旅行を中心としているところはそれほど多くありませんが、全社が回復しています。各社が国内旅行のキャンペーンを開始していて、例えばTrip.comは同社がチョイスした1万軒のうちいずれかのホテルに、1泊80米ドルで宿泊できるクーポンを販売しています。エクスペディアの上海オフィスについては、すでに全員が出社しています。
また、韓国でも国内旅行を取り扱っているパートナー企業の売り上げが回復しています。すでに4月30日の「釈迦誕生日」などの予約が入り始めており、その辺りから国内旅行市場が回復すると見られています。
そのほか、オーストラリアも感染者数が減っていて、現地オフィスからは「国内旅行を売り出せる状況になってきた」と聞いています。新型コロナウイルスに対する恐怖感は、徐々に薄れ始めているようです。