HIS、ラ・リーガと模索する海外サッカーツーリズムの可能性

昨夏にスペイン1部リーグとスポンサー契約
「共通の価値観」で前進、観戦ツアーのその先は

-これまでのLaLigaとの協働から学んだことや、得たことなどを教えてください

牛谷 旅行会社として旅行を手配するだけでなく、日本でのイベントの仕掛けをLaLigaと一緒に一から作り上げる取り組みは勉強になっています。社内のリソースを使いながら、旅行以外の部分で色々な経験を積んでいると思います。

 LaLigaは非常に協力的で、「ジャバンダービー」の企画も、我々の新たなコンテンツ探しの動きに彼らが反応して実現したものです。パブリックビューイングも、日本での知名度アップに向けてLaLiga側が提案してきました。予約が非常に取りにくい「Azurmendi」についても、LaLigaの後押しによって商品に組み込めました。

山野邉 LaLigaのプロモーションビデオを見ると良く分かるが、彼らはサッカーを売るだけでなく、文化や観光地などを含む、スペインそのものを売り込みたいと考えている。だからこそ我々がLaLigaのリソースを使うだけではなく、何か新しいことを提案した際には友好的に協力してくれるし、逆にLaLiga側からもスペインに対する理解を深めるための色々な提案がある。価値観は非常に近いと考えているので、単年で終了するような関係性ではないと考えている。

牛谷 これまでの日本人のスペイン旅行の送客先はマドリードとバロセロナが中心だったが、バスクへの視察ツアーなどをLaLigaと一緒に企画できたことは、今後の地方への送客増につながると考えています。

-今後の計画についてお聞かせください

牛谷 スポーツビジネスを学びたい大学生向けの研修プログラムを、条件さえ整えば今秋にも実施する方向で動いています。また、男子だけではなく女子のサッカーに関する企画も進めたいと考えています。

山野邉 時間はかかると思うが、LaLigaと日本の交流をさらに盛んにすることで、若者にとって海外と日本の垣根がなくなるような環境作りをサポートしていきたい。例えば日本の子供たちがJリーグではなく最初からヨーロッパをめざすような環境になれば、試合を観戦しに行くことも特別なことではなくなるだろう。その上でHISだけでなく、他社も参画できるようなムーブメントを創出したいと考えている。

-昨年のラグビーワールドカップ日本大会について、何か感じたことはありましたか

山野邉 昨年のラグビーブームでは「にわかファン」の存在が話題となったが、最初はだれでも「にわか」なので、その層をどのように広げていくが大切だ。LaLigaとのパートナシップにおいても、送客を増やすとともに、サッカーを核としたコミュニティを広げていきたいと考えている。

-ありがとうございました