週間ランキング、1位はKNT-CTの下方修正、航空会社の返金先延ばしも
[総評] 今週は、KNT-CTホールディングスが2020年3月期の業績予想を下方修正した記事でした。当然新型コロナウィルス(COVID-19)の影響を受けたものですが、それにしても当初は35億円の営業利益としていたところから33億円の赤字予想ということで、大打撃というほかありません。1月はそこまでキャンセルも出ていなかったはずですから2月と3月、特に3月に甚大な影響が出ているのだと思います。
第2四半期の決算短信を見返すと、売上高が2150億6900万円、営業利益が33億7300万円となっており、いずれも第2四半期における業績予想の2150億円と23億円を上回っていました。また第3四半期の決算短信では、売上高こそ通期予想4225億円を達成するにはこの第4四半期に前年から約2割の増収を実現しないといけない水準であったものの、営業利益は41億4800万円とすでに35億円の目標を超過。経常利益、純利益も通期の予想を上回っていました。
こうして見ると、第3四半期の終わりに41.5億円あった営業利益がすべて第4四半期に消え去るどころかさらに33億円の赤字が積み上がることになるわけで、非常に恐ろしいものがあります。
一方、第6位に入った記事では日本旅行業協会(JATA)が会員企業266社の回答を得た影響度合いの調査を紹介しましたが、これによると「現在経営困難に陥っているか」という質問に対して、「とても厳しい」と答えたのは35.3%で、「厳しい」は33.5%、「少し厳しい」は21.4%であったそうです。
「とても厳しい」と「厳しい」が合わせて7割というのは、個人的にはさほど多くない印象を受けます。ただ、第1種と第3種とでは様相が相当異なっていて、第3種では「とても厳しい」が45.2%となっており、こちらの方が肌感覚に近い気がします。 また「特に問題はない」という会社が1割あるというのも意外ですが、こちらについてJATA理事・事務局長の越智良典氏は、大手企業のインハウスなどが入っているのではないかと分析されました。
旅行会社の厳しい状況をさらに厳しくしそうなのが第2位の記事で、外国系航空会社がリファンドを遅らせようとしている様子であることをお伝えしました。サービスを提供できなかった場合に代金を返すのは至極当然であるはずで、海外では義務であると当局もウェブサイト上で明言しています。
まあ確かにそれらのサイトでも、どの程度の期間でどのようなかたちで返金されるとは定義されていないわけですが、ある会社は数ヶ月で済むところが別の会社は1年かかる、しかも恣意的に変えられる、というのはどうなんでしょうか。現状の雰囲気からすると1年を2年にすることもできてしまいそうで、昨今の消費者保護のあり方を考えるとほかの業界では考えられないような気がします。
また、もっと分からないのはそうした商行為を監督する機関がどうやらないようであることです。例えば海外の旅行会社が日本で旅行を売ろうとすれば日本の旅行業法の遵守を求められるわけで(オンライン販売だとサーバーの所在地次第で埒外となる問題はさておき)、航空券についても一定のルールがあってしかるべきではないかと思います。
さらに、航空会社も非常に苦しい状況であることは理解しているのですが、その苦しさをなんの遠慮や思いやりも見えないかたちで一方的にIATA代理店や旅行会社に押し付ける姿勢にはフラストレーションがたまります。それで旅行会社は大切なパートナーなどと言われても、なかなか真に受けることはできません。
ちなみに、KNT-CTの以前の業績を見ていて、そういえばゴールデンウィーク10連休の好況を湧いていたのはまだ昨年だったかと思い出し、それから1年も経っていないことに驚きました。この騒動が落ち着いて、大変な目にあったと一息つけるのはいつごろでしょうか。1年後くらいに今をどのように思い出すのか気になるところで、喉元を過ぎてくれていればいいのですが。
なお、別途弊社代表からのメッセージを掲載しました通り、4月から当面の間、新型コロナウィルス感染拡大防止の観点から配信頻度を週2回から3回程度に変更し、1回あたりのコンテンツの数も削減させていただきます。とはいえ、そのなかでお届けする情報についてはこれまで以上に皆様のお役に立つ内容の濃いものとできるよう最大限努力してまいりますので、ご理解いただけますと幸いです。 (松本)