「持続可能な観光」に向けた業界の施策、フィンランドがパネル開催
認証制度「サステナブル・トラベル・フィンランド」を始動
伝統料理など多様な視点で取り組みを
フィンランド大使館とフィンランド政府観光局はこのほど、同国における持続可能な旅行の取り組みをパネルディスカッションで紹介するイベント「サステナブル・トラベル・フィンランド・ワークショップ」を開催した。スウェーデンの少女による「フライトシェイム(飛ぶのは恥)」運動が大きな波となり、欧米の航空各社が相次いで「カーボンニュートラル」をめざす方針を発表するなど、観光において環境が持つ重みが増している昨今。パネルディスカッションで示された、サステナブル・トラベルは未来のためのお題目ではなく、今すぐ推進しなければならない必須の取り組みであるとのメッセージを紹介する。
フィンエアー(AY)日本支社長 永原範昭氏
駐日フィンランド大使館商務部商務官 インカ・リーサ・ハカラ氏
エコ・コンシャス・ジャパン代表北欧ツアーコーディネーター 戸沼如恵氏
2035年に「カーボンニュートラル」へ、観光産業も主体的に貢献へ
パネルディスカッションに先立ち挨拶した駐日フィンランド大使のペッカ・オルパナ氏によると、「フィンランド人にとってサステナブルであることはとても大切であり、サステナブルな考えを通じて社会や経済を構築していることは我々の大きな誇りでもある」ところで、政府としては「2035年にカーボンニュートラル」を目標に掲げているという。
フィンランド大使館商務部で観光担当上席商務官を務める沼田晃一氏によると、イベント名にもなった「サステナブル・トラベル・フィンランド」について説明した。沼田氏によると、観光は同国で全産業の二酸化炭素排出の5%を占めており、そうしたなかで「2035年にカーボンニュートラル」の目標に向けて業界の施策の一つとして立ち上げられたのが、認証プログラム「サステナブル・トラベル・フィンランド」だ。
「サステナブル・トラベル」に取り組んでいるホテルやバス会社、レストラン、旅行会社などの企業と地域を認証するもので、ウェブサイトによると(1)組織や地域として取り組むことを機関決定する、(2)ノウハウを蓄積する、(3)持続可能な観光開発計画を短期、長期のそれぞれの目標とともに立案する、など7ステップで取り組みの道筋を示している。
現時点ではまだ取得した企業や地域はないものの、候補企業が取得に向けて取り組みを開始している段階だ。取得企業が現れれば、フィンランド政府観光局として積極的に世界へプロモーションし認証取得のモチベーションを高めていきたいという。