JALグ、3Qは売上高横這いの利益2桁減、通期予想を再び下方修正

  • 2020年2月2日

菊山氏(左)  JALグループは1月31日、2020年3月期第3四半期(19年4月1日~12月31日)の連結業績を発表した。売上高は前年比0.0002%減の1兆1308億7200万円とわずかに前年を割り込み、利益面はANAホールディングスと同様に米中貿易摩擦の影響によるビジネス需要の伸び悩みや、20年度の羽田新路線の増加を見据えた先行投資などにより、営業利益は17.4%減の1201億6800万円、経常利益は12.1%減の1218億4400万円、純利益は28.4%減の763億1500万円と、第2四半期と同様にいずれも2桁減となった。純利益の大幅な減少は、今年度からの実効税率上昇によるもの。

 同日の決算発表会見に出席した取締役専務執行役員財務・経理本部長の菊山英樹氏によれば、国内線旅客事業はゴールデンウィークの10連休効果などもあり好調を維持しているものの、国際線における業務渡航需要や貨物需要は米中貿易摩擦の影響により引き続き不調。あわせて中国系航空会社の大幅な新路線開設などにより売上高は伸び悩み、20年度の羽田新路線の増加を見据えた先行投資などが利益を押し下げた。営業費用は2.6%増の約1兆107億円、営業利益率は2.2ポイント減の10.6%だった。

 なお、営業利益などの数値は、今年度から航空部品などの償却方法を変更していることが影響しており、変更しなかった場合の数値は、営業利益が12.7%減の1269億円、営業費用が1.9%増の1兆39億円、営業利益率が1.6ポイント減の11.2%で、いずれも減少幅は小さくなる。

 国際線の旅客収入は2.8%減の3921億円で、有償旅客数は1.5%減の676万9000人。座席供給量を表す有効座席キロ(ASK)を1.4%増とした一方、旅客輸送量を表す有償旅客キロ(RPK)は0.4%増にとどまった結果、有償座席利用率は0.8ポイント減の81.0%となった。単価は1.3%減の5万7931円、イールドは3.2%減の11.6円、ユニットレベニューは4.1%減の9.4円だった。

 国内線は対象的に、旅客収入は2.7%増の4154億円、有償旅客数は2.6%増の2712万4000人と好調。ASKは1.6%増、RPKは3.2%増となり、有償座席利用率は1.2ポイント増の74.1%となった。単価は0.1%増の1万5316円、イールドは0.5%減の20.3円、ユニットレベニューは1.1%増の15.0円だった。なお、報告セグメントに含まれない、旅行事業など「その他」の売上高は0.4%増の2204億7500万円で、セグメント利益は1.4%増の117億6200万円。

 第2四半期決算発表時に売上高のみ下方修正した19年度の通期連結業績予想については、米中貿易摩擦の影響が第2四半期に入り色濃くなり、「不透明感が強い」ことから、全項目を下方修正。売上高は前回予想比300億円減の1兆4860億円、営業利益も300億円減の1400億円、経常利益は260億円減の1450億円、純利益は210億円減の930億円とした。なお、今年に入ってからの新型コロナウイルスの世界的な拡大の影響は折り込んでおらず、今後についてはさらなる下方修正の可能性が否定できないという。なお、営業費用については計画通りに推移していると伝えた。

2月の中国路線「かなり厳しい」、予約が10日間で25%減

 なお、この日の会見で菊山氏は、新型コロナウイルスによる肺炎の影響について、2月の中国路線の予約者数が、1月20日からの10日間で25%も減少したことを説明。「かなり厳しい状況」と伝えるとともに、欠航や減便については今後の動向次第で検討する考えを示した。なお、中国路線以外については、日本国内線も含めて現時点では影響が出ていないことを伝えた。3月末に運航を開始する羽田/大連線などへの影響については「2ヶ月先の状況は分からない」とコメントした。