シンガポール政府観光局、MICEプログラム「INSPIRE」を本格始動[PR]
団体向けに現地で楽しめる無料体験を用意
日本でも旅行会社や企業に積極提案
シンガポール政府観光局(STB)は、MICE誘致に向けた取り組みとして、無料体験プログラム「INSPIRE (In Singapore Incentive & Rewards)」を、日本を含めたグローバルで展開している。
シンガポールのBTMICE(業務渡航とMICE)市場は好調に推移しているが、その市場の潜在性はさらに高いと判断し、これまでは中国、インド、アメリカなど特定地域の法人団体向けに提供してきた「INSPIRE」の対象を全世界に広げた。STB北アジア局長のマーカス・タン氏は、「今後、日本でもこのプログラムの活用を積極的に進めていきたい」と意欲を示す。
好調なMICE市場、日本でも取り組みを強化
シンガポールのインバウンド旅行市場は好調だ。2018年の旅行者数は前年比6.2%増の約1,850万人となり過去最高を記録。主要15市場のうち14市場で前年比増となり、日本も同4.6%増の約83万人となった。
BTMICE関連の旅行者の伸び率は、全体の伸び率を大きく上回る同12.1%。人数ベースでは約290万人となり、全体に占めるシェアは15.6%とシンガポールの観光産業にとってもBTMICEは大きなビジネスに成長している。
また、BTMICE旅行者は現地消費額も大きい。統計によると、その消費額の総計は同7.2%増の47億シンガポールドルで全体の22.2%を占め、一人あたりの消費額も1,601シンガポールドルで、レジャー旅行者の一人あたり消費額よりも2.35倍も多くなった。タン氏は「BTMICE市場は、ホテル、ダイニング、ショッピングなどさまざまな分野での成長に大きく貢献している」とその重要性を強調する。
その背景を受けて、STBは日本でも「INSPIRE」の活用を含め、特にMとI(社員旅行・報奨旅行)市場の拡大に向けた取り組みを積極的に進めている。今まではシンガポール航空(SQ)と共同で旅行会社向けのセミナーを東京を中心に千葉、横浜、さいたまなど首都圏の主要都市で開催をしていたが、2020年はさらに、大阪、名古屋、福岡でも開催する意向で、まず、5月末には東京、大阪にてシンガポールのサプライヤー25社を招いての商談会やセミナーを予定している。
また、旅行会社だけでなく、社員旅行・報奨旅行に関心の高いIT、建設・不動産、製造関連企業への直接のアプローチも視野に入れている。
シンガポールがMICEデスティネーションに選ばれる理由とは
シンガポールがMICEデスティネーションとして選ばれるのには理由がある。タン氏は、その理由としてシンガポールの5つの強みを挙げた。
まずは、航空ネットワークの充実だ。シンガポール・チャンギ空港の2018年の利用者数は6,500万人。東南アジアの主要ハブ空港として、世界各地へネットワークを広げており、日本も6都市から直行便が就航している。タン氏は「アクセスのよさはMICEにとって必要不可欠」とその強みを強調する。
また、ホテルが充実している点も重要。シンガポールには現在、さまざまなカテゴリーのホテルが400軒ほどあり、その部屋総数は6万7,084室。2020年末までには7万室に増加する計画だという。「価格帯がさまざまあり、同クラスの日本のホテルと比べると価格の競争力がある」ことを理由のひとつに挙げた。
次に文化的多様性があること。シンガポールは、マレー系、中華系、インド系などの人たちが暮らす多民族国家。そこから生み出されるダイバーシティが国に活力を与えている。タン氏は「多様性によって、シンガポールにはさまざまな体験があり、また食文化も多彩。MICE旅行者にとっても大きなアピールになる」と話す。
さらに、シンガポールはコンパクトな都市であるため、移動もしやすい。たとえば、リゾートアイランドのセントーサ島までは町の中心から15分、トレッキングなどが楽しめるウビン島へはチャンギ・ポイント・フェリー・ターミナルからわずか10分だ。加えて、「シンガポールは日本と同じように何に関しても時間に正確」(タン氏)なところも、MICEデスティネーションの選択では重要なポイントとなる。
このほか、タン氏は「シンガポールでは、通年でレジャーとビジネスの両方でさまざまなイベントが行われており、それに合わせて旅程のなかに組むことも可能だろう」と話す。たとえば、2月であれば、隔年で開催されている世界屈指の航空ショーであるシンガポール・エアショーを社員旅行に組み入れたり、日本では馴染みの薄い旧正月の独特な雰囲気を味わったりすることもできる。加えて、ライトアップイベントなどの参加無料のイベントも多いことから、旅程の選択肢は広がる。