travelvision complimentary

デルタ航空新支社長インタビュー、羽田成功へホテル経験生かす、日本の重要性不変

羽田成功が最大のミッション
旅行会社との関係強化にも意欲

-羽田シフトによって、日本市場向けの供給座席はどう変化するでしょうか。またその変化を踏まえた販売方法は

大隅 日本と北米間の座席という意味では販売する座席が増える。成田路線ではアジア発着の需要も取り込んでいたので、大まかにいって日本市場30%、北米市場30%、アジア市場30%という座席の利用状況だった。羽田ではこれが日本市場50%、北米市場50%になるわけだ。

 販売については、レジャー需要の取り込みを強化したい。ホテル業界にいた時代からDLはよく利用していたがビジネス客の利用が多いという印象で、逆にいえばレジャーはもっと伸ばせるのではないかと考えている。

 そのためには旅行会社に対しての働きかけ方が重要だ。単に「レジャーをこれだけ売って」と望むだけでは安売りに繋がりかねない。そうではなく、メインキャビンがどういうプロダクトであるかを十分にご説明したうえで、だからこういう客層に販売してほしい、こういうパッケージ商品に仕立ててほしいという考えをしっかりとお伝えし、ターゲットを明確にしたプロモーションを展開していく姿勢が重要になる。

 その意味でも成田から羽田への移転はタイミング的にはいい時期だと感じている。かつては日本人の米国への憧れも強く、黙っていても日本市場から北米へ一定程度の旅行需要が見込めた時代があった。しかし現在はデスティネーション間の競合も激化しており、北米デスティネーションをどう伸ばしていくのか旅行業界も模索している段階だろう。旅行業界と共に北米の活性化のために努力を傾けていくべき時期と、DLが変化していくべきタイミングが重なることは好ましいことだ。

-レジャー需要を獲得していくうえで具体的な方策はどのように考えていますか

大隅 やはり乗り入れている北米都市、例えばシアトルなりポートランドなりのデスティネーションとしての魅力をより積極的に紹介していくことがひとつ。またDLのネットワークの強みを訴求していくことも大切だ。例えば、ラスベガスへの旅行需要を取り込むにはロサンゼルス便を利用してもらってもいいし、同路線が混んでいる場合はシアトル線の利用を選択肢として提案できるのもDLの強みだと思う。

 もう一つはブランディングの強化だ。DLは搭乗クラスにエコノミーやビジネスといった呼称を使うのではなく、メインキャビン、デルタ・プレミアムセレクト、デルタ・ワンといった名称を付けることでブランディングを明確にしている。そして、このキャビンはこういうサービスを提供し、その付加価値に見合う運賃をいただくという考え方を、できるだけ市場に伝わるように工夫している。日本でも、こういった本社の戦略に基づき販売を拡大していきたい。

-とはいえ、今後は人口減少に向かい市場拡大が難しい日本では、他社から奪うシェアも減る中で販売拡大するのは容易ではないと思われます

大隅 先ほども言ったように北米への旅行需要を拡大していかねばならないが、これはアウトバウンドに携わる旅行会社にとっても重要な課題であり、どうやって北米旅行の需要を拡大していくべきか、旅行会社、航空会社、デスティネーションサイドが三位一体で取り組んでいかねばならない問題だ。関係者が一体となってアイデアを出していく必要がある。