羽田国内枠、回収再配分へ基本方針案固まる、地方路線と競争促進へ

  • 2019年8月25日

 国土交通省航空局は8月23日、「羽田発着枠配分基準検討小委員会」を開催し、事務局から報告書の草案を示して委員から概ね了解を得た。小委員会は、各航空会社が持つ羽田空港の使用許可が来年に5年間の期限を迎えることから、回収や配分の方法などについて検討したもの。今後は案に対する意見や修正要望を反映しつつ報告書が取りまとめられ、それを踏まえて来夏ダイヤの就航に向けて実際に回収と再配分が実施されることとなる。

 報告書案では、まず基本的な考え方として新規参入を希望する航空会社への対応を要する点や、観光先進国化や地方活性化に貢献するように地方路線を充実する必要がある点を指摘した。

 また、発着枠の回収については、回収によって減便となることの影響なども考慮し、2012年に回収を前提として配分した25枠のなかで必要最小限の規模とすることが妥当とした。回収の対象となる航空会社は就航済みの全社で、全日空(NH)、日本航空(JL)、スカイマーク(BC)、エア・ドゥ(HD)、ソラシドエア(6J)、スターフライヤー(7G)。

 現在、羽田空港における混雑時間帯の国内線発着枠は、路線の限定のない「自由枠」が350枠、幹線以外の路線に限定された「地方枠」が18枠、NHとJLを除く4社に優先的に付与された「新規優遇枠」88枠で合計が465枠。このうち新規優遇枠については今回は回収の対象外とし、自由枠と地方枠のうち1日4便以上が運航されている枠のなかから回収されるべきとした。

 回収は、各社が保有する枠のなかから一定の割合で平等に回収する方法と、有効利用されていない発着枠を回収する方法を併用し、少なくとも1社1枠は回収されるようにする。

 回収した発着枠は、地方枠として再配分することを推奨。地方路線については、地域と航空会社が協力して需要喚起に取り組む「羽田発着枠政策コンテスト枠」も増枠すべきともしている。このほか、羽田と海外を関空経由でつなぐことを目的とする「際内乗り継ぎ改善枠」も維持が適当とされた。

 再配分の基準は、もともと利用者利便の向上、効率的経営、発着枠の効率的利用などで各社を評価していたが、これらをベースとして安全への取組状況や全国的な路線網の形成などの視点も踏まえて見直すべきとした。

 このほか、新規就航を希望する航空会社に優先的に配分できるような仕組みも設けつつ、そうした会社が現れないうちは既存6社のいずれかが暫定的に使用できるようにすることも推奨した。なお、新規参入航空会社の定義は、配分を受けている羽田の発着枠が3枠未満であることで、既存航空会社が一定以上の割合で出資していたり、役員が派遣されている、あるいは重複しているような場合は対象外とすべきと明記されている。