ZIPAIRは成功できるか-就航まであと9ヶ月、西田社長に聞く

2年目の黒字化に向け発信、中長距離LCCのスタンダードに
太平洋路線の開設前には「第3の路線」も

西田氏 西田 機材の稼働時間を考えた場合、成田/バンコク線と成田/ソウル線を組み合わせると、現地でのターンアラウンドの時間を含めて、ちょうど24時間で1往復ずつ運航することが可能になる。具体的な運航スケジュールは今後決定するが 夕方から夜にかけて成田からバンコクに向けて出発し、バンコクを深夜に出発して朝に成田に戻り、昼にソウルを往復するスケジュールを希望している。

 バンコク線とソウル線はともに競合が激しいが、需要も大きく、今後もさらに開拓できるマーケットと考えている。ソウル線については、現在は日韓関係の悪化の影響を受けているが、それ以前の成田/仁川間の搭乗率は90%近くに上る。これだけ多くの便がありながら、これだけ高い搭乗率を記録している路線は他にはない。

 また、路線の選定にあたっては、機材の稼働率に加えて、使用機材のB787-8型機のベリーを使っての貨物輸送も大きな判断材料となる。バンコク線もソウル線も、旅客と貨物の両方の需要を見込める路線だ。

-太平洋路線など、その他の路線の開設のタイミングについてお聞かせください

西田 太平洋路線に関しては21年度の開設を計画しているが、運航を開始して1年間ほど実績を積み、ETOPS(緊急時に双発機がエンジン1基のみで飛行できる時間を定めた基準)を取得できれば、すぐにでも開始したい。機材の稼働率を考えると、24時間で往復できる北米の西海岸の都市がターゲットで、カナダと米国の西海岸の主要都市はいずれも候補となりうる。

 しかし具体的な就航地についてはまだ決まっておらず、現在も市場調査を続けている。実際に決まるのは、ETOPSの取得が見えた段階になるかもしれない。その前に、20年度内には3本目の路線を開設したいと考えている。

-近年ではLCCとFSCの境界が曖昧になり、「ハイブリッド」や「ニューエイジ」などと謳う航空会社も出てきていますが、「LCC」であることを明確に打ち出すお考えですか

西田 日本でも2011年からLCCが続々と登場し、マーケットを切り開いてきた。今ではLCCとFSCの違いが市場に浸透しているので、お客様にはLCCであることを訴求していくつもりだ。

 かつてJALグループには、LCCの走りのような航空会社としてジャルウェイズがあり、運航の低コスト化などを実現していたが、販路はJLに依存していた。しかし現在は、お客様に航空券を直接買っていただける仕組みが整っている。代理店経由の流通も昔とは異なる。

 販売については従来のLCCと同様に、ウェブサイトでの直販を主軸にするつもりで、OTAについてもシステムを接続できるところにはお願いする。リアルエージェントについては、 以前とは接続の仕方も違うようなので、各社との協議を進めているが、太平洋路線に就航すれば、各社の品揃えに加えていただける可能性も高まるのではないか。