ZIPAIRは成功できるか-就航まであと9ヶ月、西田社長に聞く
2年目の黒字化に向け発信、中長距離LCCのスタンダードに
太平洋路線の開設前には「第3の路線」も
西田 世界中でLCCの淘汰が起きているが、基本的には親会社の協力によるスケールメリットでコストを下げられる会社が生き残っている。ZIPAIRも機材、整備、部品、燃料、さらには航空機のオペレーションで、JLからの恩恵を受けられると考えている。同じく日本航空が出資する ジェットスター・ジャパン(GK)とは、協力しながらLCCマーケットを盛り上げていきたい。
西田 価格とサービスのバランスが良いLCCとしてビジネスを展開していくが、JLの至れり尽くせりのサービスを期待されると、その期待値を下回ってしまう恐れがある。新しい航空会社として提供することを伝えるために、目に見える部分についてはJLとの違いを明確に打ち出したほうが良いと判断した。
西田 他のLCCは主に若者をターゲットとしているが、ZIPAIRはもう少し幅が広くなるのではないか。日本市場ではレジャーでの利用者に加えて、例えばバンコクに仕入れに行くタイ料理店のオーナーのような、自費で航空券を購入する個人事業主なども想定しているので、そのような層に「ZIPAIRはコストパフォーマンスが良い」とアピールしていきたい。男女比や年齢などは、路線によって変わってくるだろう。
マーケティングの軸足は日本に置くが、一般的に海外発の利用者の方が早く予約する傾向が強いことを考えると、利用者は訪日旅行者の方が多くなるかもしれない。海外でのアピールは大きな課題で、今から認知度を高めていく必要があるが、リアルな広告を出すよりは、オンラインでアプローチする形になるだろう。将来的には日本発と海外発を半分ずつにしたい。
B787-8型機の290席を、複数のクラスに分けるか否かについてはまだ決めておらず、上位クラスを設ける可能性もある。JLが使用していた機材のキャビンを刷新して使う予定で、現在は必要な各種テストを実施中だ。座席構成は今冬にも発表できるだろう。
西田 中長距離LCCの分野では未だに完全な成功者はいないので、我々がスタンダードになれるように頑張る。「中長距離LCCならZIPAIR」と認めていただけるようになりたい。
経営面では、高い目標ではあるが、太平洋路線の運航を始める2年目に黒字化をめざす。運賃をFSCの半額程度にするためには、オペレーションに直接関わらない間接的なコストを圧縮しないといけないので、言い換えれば2年目で黒字を出せるくらいの間接コストしか持たないつもりだ。自分たちで自分たちを縛る体制を構築していく。