専門性で生き残る:「美術の旅」のアトリエトラベル

「現地で本物」こそが醍醐味
強みは自らの経験と人脈

-現在の業況についてお聞かせください

江里口氏江里口 常勤スタッフは私を含む3名で、その他に非常勤の企画担当と添乗員が1名ずついます。年間の取扱人数は約500名、売上高は1億円くらいで、リピーター率は90%に上ります。旅行業に加えて、かつては絵画の販売や自画像の制作販売などもおこなっていましたが、現在はほぼ、受注型企画旅行のみに注力しています。受注型なので単価が高く、取扱人数の割には売上高が大きいのが特徴です。

-主力商品やヒット商品はありますか
江里口 お客様が行きたい場所を商品化しているので、毎年決まって催行するような商品や、「これが売れ筋」といったものはないです。しかしリピーターが多いので、ツアーの催行中に次の旅行先が決まることも多く、ツアーの催行と造成が途切れずに続いています。

 企画と造成については、まずは店頭などで旅のイメージやご希望を伺い、行き先や目的にこちらの情報を加味してツアーを造っていきます。ツアーの料金は高くなりますが、お客様の満足感は高いと思います。他社のツアーも販売してはいますが、利用者は多くはありません。

-どのようなお客様が多いですか

江里口 平均年齢は70代中盤で、50代や60代は若い方に入ります。また、最近は4名や5名の少人数で、フットワークが軽い活動的なグループが多く、そのような方々が全体の8割ほどを占めています。お客様のタイプとしては、やはり美術に熱心な方が多く、特にスケッチに関しては「絵を描くことが生きがい」と言えるほど打ち込んでいる方が多いと感じます。

-新規顧客の獲得のために取り組んでいることはありますか

江里口 今後は50代や60代の“若い人”を増やしていくことが課題です。現在はリピーターによる口コミや紹介で新規の顧客を増やしていますが、 美術に関心のある若い人をもっと取り込んでいきたいですね。

 リピーターのお客様も高齢化が進み、海外に行けなくなったり、お亡くなりになったりといったケースが少なくありません。海外に行けなくなった場合は、国内のツアーにお誘いすることもできますが、いずれにせよ顧客の若返りは必要です。