在留外国人のアウト需要を獲得-南米だけじゃないアルファインテル
入管法改正で「エスニックマーケット」さらに拡大
まずはフィリピン、ベトナムやネパールも視野に
-単に航空券を販売するだけでは不十分ということでしょうか
塩脇 在日ブラジル人は、空港にお世話係の社員がいる旅行会社で航空券を買う傾向が強いと思います。語学力が不十分なので、少しのことでも不安が生まれますし、慣れない飛行機での旅行となればなおさらです。だから我々は、空港にはセンディング(見送り)のための社員を配置しています。
しかし、国が変わるとニーズは全く異なり、例えばフィリピン人はセンディングに関して「なぜそんなことが必要なのか」と、一向に理解できない様子です。決済方法についても一通りではなく、クレジットカードを好むマーケットがあれば、ブラジル人のようにコンビニでの支払いを好むマーケットもあります。
勿論、いずれはOTAも脅威になってくると思います。しかしそれまでには、我々もエスニックマーケットに限定した予約販売サイトを用意します。利用者のニーズを熟知した上で用意するので、競争力を発揮できると思います。まずは在日フィリピン人向けの予約販売サイトを開発し、今年中には提供を開始する予定です。
-航空券の仕入れに関して、取組状況をお聞かせください
塩脇 エスニックマーケットにおいて多くの顧客を抱えていることで、交渉力はあると考えており、航空会社からは比較的良いレートをいただいて、他の旅行会社への卸売りでも実績を上げています。航空会社に対しては、レートの交渉をするだけでなく「一緒に商品作りに取り組む」という考え方で、我々が利用者のニーズを汲み取り、航空会社にはニーズに見合った条件の航空券を提供していただきます。
変更やキャンセルの可否、手荷物の重量制限、有効期間の長さなど、航空券は条件次第で売れたり、売れなかったりします。そして条件のニーズは国によって異なり、ニーズを外すとまず売れません。
-今後のマーケット開拓に向けた方針や、目標についてお聞かせください
塩脇 我々は在留南米人のマーケットではすでにナンバーワンのシェアを占めていると思いますが、今後はフィリピン以外にも積極的に着手し、エスニックマーケットのすべてでナンバーワンをめざしたいと考えています。とはいえ在日フィリピン人のマーケットでさえ、まだまだこれからといったところなので、まずはフィリピンの強化をはかります。
小野田孝英氏 欧州諸国では増加する移民を受け入れきれず、さまざまな問題が発生しているが、その一方で日本はまだまだ移民が少なく、人口当たりの人数は欧州の10分の1程度にすぎない。しかも日本は人口減少社会に突入しており、すでに労働力不足が深刻化している。これらのことを考えれば、今後は日本もさらに外国人を受け入れないと、地盤沈下を免れないのは明らかだろう。
アルファインテルは、日本でも外国人が増えるこれからの時代を、一定のアドバンテージを持って迎えることができる。我々はそのことにこと、旅行会社として生き残れる可能性を感じている。