週間ランキング、1位はJATA総会・正会員除名、2位はLINEトラベル

[総評] 今週の1位は日本旅行業協会(JATA)の総会の様子をお伝えした記事でした。田川博己会長のスピーチは数え切れないほど記事化しており、なぜここまでクリックされたのか、と一瞬いぶかしく思いましたが、記事中で正会員3社の除名にも触れていたので合点がいきました。除名の記事は、昨年も年間ランキングで3位に入るなど大人気で、「人の不幸は」なのか「明日は我が身」なのか分かりませんが、おそらく今回もこれが注目を集めたものと思われます。

 今回、私は総会後の懇親会のみ参加しましたが、国土交通大臣の石井啓一氏や全国旅行業協会(ANTA)会長の二階俊博氏らも来場して挨拶をされ、いつもとは違う雰囲気を感じました。とはいえこれは単に選挙前だからかもしれません。

 選挙というと、某大手旅行会社の社員の方から、選挙の際に自分の身分を隠して同僚に電話をし公明党への投票を呼びかけなければならなかったことがある、それ以来自分に電話がかかってきても同僚かもしれず無下に対応できなくなった、という笑い話(?)を聞いたことがありますが、現在も似たようなことはあるのでしょうか。

 そういえば、数年前には取締役名で公明党候補の応援を要請する一斉メールを送ってしまったらしい会社もありました。上記の某社と比べて不用意としか言いようがありませんが、今はもっと上手にやっているのでしょうか。大きなビジネスに繋がる可能性がある以上、実態としてそうした動きが無くなることはないでしょうし、そのあたりは業界誌としては捉え方に悩む部分があります。

 第2位はLINEトラベルの記事で、旅行業参入からの1年間についてご紹介しています。以前も書きましたが個人的には、やたらと高頻度でメッセージを送ってくるLINEトラベルのアカウントは、仕事がなければ絶対にフォローし続けない厄介者なのですが、出入りがあるとはいえ1700万人のユーザーを掴んでいるというのは物凄いことで、自分の感覚が世間とズレている可能性を実感させられます。

 いわゆる「ツアー&アクティビティ」の新サービスの開始も発表されているほか、「予約という行動」を「シェアする流れ」を加速させたい、など興味深いお話もあり、是非様々な立場の方々にご覧いただきたいと思います。特に、日本の旅行系企業はスピードが遅いというのは厳しい指摘ですが、逆にいうと日本の旅行会社が抱える最大の課題を端的に表したものかもしれません。

 このほか、今週はYahoo!ニュースで読んだ韓国の犬食文化の衰退も印象に残りました。私は一度だけ韓国で友人に頼んで連れて行ってもらったことがあり、その店では特段の美味しさを感じられずこれなら他の肉でいいやと思ったものの、その文化が消えていくのは残念です。日本の鯨食やイルカ食も構図は同様で、自分が好んで食べることはないとしても、かわいそうだとかなんだとかいう理由で外部からものを言われる筋合いはないと思っています。

 中国では「空を飛ぶものは飛行機以外、4本足は机以外なんでも食べる」などといわれますが、猫も食べることがあるそうです。猫を飼っている身としてはもちろん食べる気にはなりませんし、こんなにかわいい生き物をよく、と思う部分もありますが、文化を否定することのほうがよほどはばかられます。

 「うちのコ自慢」コーナーで皆様のペットを取り上げる横でずいぶんな主張だとご批判もあるかもしれませんが、それを言ったら牛、豚、鶏、羊、馬、魚などなど、それぞれにかわいらしさがありそもそも命があるわけです。完全なビーガンであればそうした矛盾から離れられるかもしれませんが、実際には植物にだって命はあります。

 絶滅の可能性があるような場合には文化であっても資源保護へ舵を切るべきと考えますが、なんにせよ食文化は旅行・観光産業にとって根幹をなす要素です。一消費者として感情論に心を奪われることは構わないとしても、この産業に従事する者としては真剣に考えるべきテーマなのではないかと感じます。

 なお、本稿は「トラベルビジョン株式会社」からお届けする最後の総評となります。ご案内しておりました通り、トラベルビジョン株式会社は親会社である株式会社エフネスが吸収合併し、トラベルビジョン事業部となります。12年超にわたって心血を注いできた法人がなくなるわけで感慨も多少はありますが、とはいえ当欄を含めてトラベルビジョンの誌面には何ら変化ありませんので、変わらぬご愛顧を賜れますようお願いいたします。(松本)

ランキングはこちら