23年度までに100軒展開、加速続けるHISホテル事業の現在
HHH岩間社長に聞く4ブランドの展開
「変なホテル」はインパクトよりも快適さ重視
エイチ・アイ・エス(HIS)の完全子会社として2016年に設立し、現在は「変なホテル」「ウォーターマークホテル」「グリーンワールドホテル」「グアムリーフホテル」の4つのブランドで30軒超のホテルを展開するH.I.S.ホテルホールディングス(HHH)。23年度までに計100軒を運営することを目標に事業を拡大しているが、今後の国内外における開業計画やその進捗、主力となる「変なホテル」の展開はどのようなものなのか。今年1月に代表取締役社長に就任した岩間雄二氏に、詳しい話を聞いた。
岩間雄二氏(以下敬称略) 旅行会社から派生したホテル事業なので、まずは旅行者にとって何が一番大切なのかを考えていきたい。旅行業界が変革期にあり、ホテルも乱立する環境のなかで、「どのようにして選ばれるホテルになるか」は課題でもあり、めざすべき方向だろう。その上で、業界にとってもメリットがあるホテル会社になりたいと思っている。
また、労働環境の改善や従業員の給与水準の向上にも貢献したいと考えている。たとえば、「変なホテル」ではロボットなどのテクノロジーを駆使して運営の省人化を進めているが、その目的は利益をお客様だけでなく、社員にも還元することだ。今後、人口が減少していくなかでも耐えうる体制を構築し、お客様と従業員にとって一番良いホテルになりたい。色々な意味で、ホテル業界のゲームチェンジャーになれればと考えている。
岩間 まず「変なホテル」については、今年9月に浅草田原町、11月に関西空港、12月に金沢での開業を予定している。そのほか20年には奈良、京都五条、北陸で、21年には京都に2施設、三重で開業予定の温泉複合リゾート施設「アクアイグニス多気」、仙台、沖縄、沖縄の離島でそれぞれ開業を計画している。
海外では、ニューヨークとトルコのパムッカレでの開業を予定しているが、このうちニューヨークについては、20年の春にマンハッタンで「ウォーターマーク」を開業することが決まった。トルコについては21年の開業をめざしており、ブランドは検討中だ。
台北で16軒を展開している「グリーンワールド」については、台湾での拡大に加えて、日本での開業も検討している。台湾での認知度は高いので、訪日旅行者が多いエリアでの受け皿として展開していく可能性はあるだろう。
岩間 ホテル事業を成功させるためにはさまざまな経験や知識が、運営や経営において必要となってくる。そのなかで「できるだけ多く」と抽象的なことを言ってもなかなか数字は伸ばせないと思うので、わかりやすく「23年度までに100軒」という数値目標を掲げた。とはいえ国内では土地代や建設費が高騰し、資材不足も懸念され、あわせて海外での事業展開の難しさも承知している。難易度の高い目標だが、何とか達成したいと思う。