新生スカイマーク市江社長に聞く、次の成長と国際線戦略
夏期のサイパン線・定期便化に意欲
“第3極”の存在価値を活かす品質へのこだわり
3月22日、スカイマークは成田とサイパン線を結ぶフライトを、国際線チャーターで開始した。春休みの期間限定だが、合計6往復を6日間の複数日で運航。10連休となる今年のゴールデンウィークにも4月27日から5月3日までの計4往復のチャーター運航を計画しており、夏期には定期便化も視野に入れている。
民事再生を2015年からの1年余りで終了し、急成長を遂げた新生スカイマークが見据えるのは2020年9月末までの再上場。これに向けた飛躍の原動力となる国際線展開と、同社がこだわる“第3極”としての価値向上について代表取締役社長の市江正彦氏に聞いた。
市江正彦氏(以下敬称略) 就任時は国内の景気が上昇傾向にあり、原油価格も安価で推移するなど経済環境に恵まれた中でスタートできたと思う。また、お客様に利用していただけたことも大きかった。経営破綻した2014年度は搭乗率が60%台ほどだったが、15年度には76%くらいまでに上がった。
その結果、1年目から営業損益は黒字となり、16年度から3年間の中期経営計画も、2年度目に収益レベルや路線計画の目標を達成した。例えば路線計画では、3年間のうちに縮小した路線の1ヶ所は復便しようと計画していたが、17年度に仙台/神戸線を復活し、18年8月には新規就航地として奄美大島にも就航。そういう意味では計画以上の展開ができた。
国際線チャーターも、3年度目の計画だったが実際は2年度目の18年2月に羽田/仁川線で実現できた。そして18年度に成田/サイパンでチャーターの期間運航を実施。19年度ではゴールデンウィークにもチャーター便を運航する。発表段階ではないが、夏休みには定期便が実現できるよう、最後の準備をしているところだ。行き先はやはりサイパンだ。
市江 国際線に関していうと、私はB737型機であれば2012年や13年ごろに始められていたと思っている。ただ、大きな躓きをして、その間に日本のLCCが国際線を始め、外国の航空会社も就航してきた。スカイマークにとって失われた5年間だった。
後発組になったので、路線戦略はよく考えなくてはいけない。複数社が就航して価格競争になっている路線は避けたかった。日本のLCCは基本的に大手航空会社の関連会社なので、価格勝負は最後、体力がものをいう。当社はANAの出資をいただいているが、出資比率は15%程度。当社は今後、上場もめざしている。日本の航空会社の中で数少ない独立系企業として経営していくためにも、価格勝負に巻き込まれないことを重視した。
市江 実をいうと、仁川へのチャーター後、別の国で考えていたが、2018年2月頃にサイパンとパラオのそれぞれから要請があった。確かその頃に、デルタ航空(DL)が同年のゴールデンウィークで運休することを発表した。
就航を決めるまでにはDLとも話をし、DLとして利益は出ていたものの、より利益率の高い路線へ機材を回すという本社の方針によって決まったものであることも説明いただいた。
DLが利益を上げていたのなら、当社でもできる。そこからスタートして同年3月には役員がサイパン、パラオの路線を視察し、私も5月中旬くらいにグアム経由で行ったが、実体験すると直行便の必要性が良く分かった。直行便だと3時間強で行けるが、経由すると一度グアムで入国して出国する手間もかかる。パラオは経由便でも行く熱心なダイバーなどの需要があると思うが、一般的な観光のサイパンではやはり直行便が必要だ。