日系2社に聞く、国際提携戦略の現在とアライアンス論(ANA編)
是々非々で国際ネットワーク拡大
今後は「JV間競争」激しく
中尾 全く排除しているわけではないが、あまり検討したことはない。プロダクトが異なるため、NHのお客様に上質なサービスをお約束できないことがネックになっている。LCCの側もビジネスモデルが異なるので、システム面の連携でコストが増す我々との提携は敬遠するのではないか。ただ、上質なサービスを併せ持つハイブリッドキャリアについては話が違ってくるだろう。
中尾 それぞれアライアンスには強みや弱みがあり、ガバナンス力にも違いがある。近年はアライアンスを跨いでの出資や提携も多く、アライアンスを超えたJVの例はある。例えば、スターアライアンスのニュージランド航空(NZ)とワンワールドのキャセイパシフィック航空(CX)は、香港/ニュージランド間のみでJVをおこなっている。
とはいえ他のアライアンスの航空会社とのコードシェアやJVは、所属するアライアンスのガバナンスルールに従って、意志決定機関での承認が必要となる。今後、アライアンスの再編が起こるかどうかは予見できないが、スターアライアンスについては加盟航空会社が非常にタイトな関係を持っているので、それほど大きな変化は起きないだろう。
アライアンスによる最大のメリットはFFPにおける協力で、グループでの囲い込み戦略を緩めると、お客様が他のアライアンスに流れてしまう可能性がある。そのメリットがある以上、アライアンスは存続していくのではないか。
ただ、今後はJVが活発化していき、JV間における競争が激しくなるだろう。「アライアンス間競争」というよりは「JV間競争」になると思う。
中尾 航空需要は今後も世界的に成長し、特にアジアでの成長は大きいだろう。そのなかでNHは“グローバルネットワークキャリア”として、マーケットの成長に目を向けながら、他社との提携も活用して世界へのネットワークを広げていく。それは目標でもあり、課題でもあると思う。
※「JAL編」は後日公開します。