日系2社に聞く、国際提携戦略の現在とアライアンス論(ANA編)
是々非々で国際ネットワーク拡大
今後は「JV間競争」激しく
中尾 以前から他のアライアンスの航空会社との提携は積極的に進めていて、例えばVNについては、それまではJLと提携していたが、解消してNHと資本提携した。日本と経済成長が著しいベトナムの今後の交流拡大を考えると、VNとの提携は旅客の利便性を高めることにつながる。例えば日本からスターアライアンスのシンガポール航空(SQ)を利用してベトナムに行こうとすると、ベトナムを通り過ぎてからまた戻ることになってしまう。16年10月にコードシェアを開始したが、両社ともに販売実績は伸びており、提携の効果が出ていると言える。
同じスカイチームのGAについてもコードシェアを実施している。インドネシアも経済成長が著しいが、スターアライアンスのネットワークではカバーしきれないエリアだ。GA は昨年にはJLとも包括提携に合意し、我々との関係を維持しながらコードシェアを開始したが、いずれもメリットがあるということだろう。
AZとは昨年の10月末にコードシェアとマイレージ提携を始めたが、やはり実績は上がってきている。PRについては以前から提携していたが、出資の効果が現れるのはこれからだ。いずれにしても他社との提携を進めながら、ホワイトスポットを埋めていく方針だ。
中尾 今後重要になってくるマーケットについては、早めに囲い込んでおきたいという考えがある。例えばロシアは今後、経済交流が活発化すると予想されるので、すでに東京/モスクワ、ウラジオストク線の開設を検討している(関連記事)。
いずれにせよホワイトスポットに進出する場合は、日本と相手国におけるビジネス需要を優先的に考え、その上でレジャー需要も取り込む。今年の9月に就航する成田/パース線も、西オーストラリアでの資源ビジネスが活発なことから開設を決めた。また、基本的にデイリー運航できないマーケットには自社便では入っていかない。
NHが抱えているホワイトスポットとしてはアフリカ、中東、南米などがあるが、アフリカについてはまだまだ日本からの流動は限定的なので、他社と連携してヨーロッパや香港経由で、となるだろう。中東については、日本を含むアジアとヨーロッパを結ぶ中継地点としての役割を持つ。
南米については、歴史的な背景からブラジルなどへの流動があるが、日本から直接飛ばせる機材はないため、引き続きユナイテッド航空(UA)との連携が中心となる。また、南米の航空会社との提携も検討していきたいと思っている。