UA、ビジネス市場へさらに投資強化-上席副社長、羽田は「不可欠」
ユナイテッド航空(UA)は、18年に開始した路便拡大計画の成果として得た収益を原資にサービス向上に向けた各種投資を一段と積極化していく考えで、業務渡航需要の獲得拡大をはかる構えだ。このほど来日したUA営業担当上席副社長のジェイク・セフォリア氏は、こうしたUAの路便拡大計画と投資計画における日本市場の重要性を指摘するとともに、今後の戦略を左右する羽田空港におけるスロット確保についても意欲を示した。
セフォリア氏によれば、UAは18年以降、毎年4%から6%の座席供給量拡大をはかっていく計画で、計画初年度の18年は5.5%増を達成。この結果、18年の旅客数は6.9%増、旅客営業収入9.4%増、営業利益は10.3%増との業績につながった。
業績好調を受けてUAでは、「収益増加で得た資金を積極的に再投資に回し新プロダクトの拡充とサービス向上をはかっている」(セフォリア氏)ところ。投資の中心は業務渡航市場向けで、10日に1機のペースで最新型ビジネスクラス「ユナイテッド・ポラリス」装備の機材(新機材と既存機材の改装を含む)を投入する。また、日本路線でも3月末から登場するプレミアムエコノミー「ユナイテッド・プレミアムプラス」も同様のペースで市場投入する計画で、ポラリス、プレミアムプラスの両サービスとも「2020年末までには対象となる全機材への装備を完了する」という。
また「ユナイテッド・ポラリス」旅客専用ラウンジの各空港への開設も進めており、すでにサンフランシスコ、ロサンゼルス、シカゴ、ヒューストン、ニューヨーク(ニューアーク)の各空港に開設している。
セフォリア氏は路便拡大計画における日本市場の重要性にも言及し、「戦略的に拡大をはかるUAにとって、インバウンドが急増しアウトバウンドも昨年6%も伸び成長を続ける日本市場は極めて重要だ」と期待感を表明。そのうえで、重視している業務渡航市場で羽田発着便は不可欠だとも指摘し、日本人出張者のみならず「アメリカ人出張者にとっても羽田は重要。旅行頻度が低い一般旅客は羽田と成田の違いを認識していないが、日本を高頻度で訪れる業務渡航は圧倒的に羽田発着を望む」としている。
2020年夏に予定される羽田空港国際線発着枠の再拡張では、2月21日に米系各社が米国運輸省(DOT)に路線就航計画を提出しているが、UAも羽田からニューアーク、シカゴ、ワシントンDC、ロサンゼルス、ヒューストン、グアムの6路線を申請。DOTが認可条件の重要な要素とする「米国の公益への貢献」については「UAは人口が集中する米国の主要都市、上位6つのうち5都市をハブとしており、5600万人が直接利用できるうえ112都市へ接続できる。米国本土/東京間の需要全体の3分の2に相当する300万人が恩恵を受けられる」(セファオリア氏)と優位性を説明した。
一方、成田発着路線については「アジアの北東に位置する日本はアジアへのコネクションのハブとして地理的に重要であり、事業パートナーある全日空のアジア路線と接続する上でも成田の重要性は変わらない」(同)と評価した。