若者の海旅促進「実行」に向け検討開始-連携の必要性浮き彫り
観光庁は1月24日、若者の海外旅行を促進するための産官学による検討会議「若者のアウトバウンド推進実行会議」の第1回会合を開催した。同会議は若者の海外旅行離れや双方向交流拡大の必要性に関する指摘を受けて議論した、昨年の「若者のアウトバウンド活性化に関する検討会」の取りまとめ(関連記事)を受けて立ち上げたもので、関係各団体・企業の取り組みを取りまとめて分野横断的な「応援プログラム」を策定し、「国民的ムーブメント」を醸成することがねらい。
構成員は観光関連の団体・企業に加えて、経済・教育・地方自治体の関係団体、関係省庁などの代表約30名。旅行業界からは日本旅行業協会(JATA)理事・事務局長の越智良典氏、日本海外ツアーオペレーター協会(OTOA)会長の大畑貴彦氏、駐日外国政府観光局協議会(ANTOR-Japan)会長のフレデリック・マゼンク氏などが参加する。
この日は各構成員が、各団体・企業が実施している取り組みについて報告した。最初に説明したJATAは、越智氏がパスポートを所有していない全国の若者200名にほぼ無料で近隣10ヶ国・地域への海外旅行を提供する「20歳初めての海外体験プロジェクト」(関連記事)を開始したことを伝え、海外旅行推進部部長の權田昌一氏が詳細と進捗について説明。權田氏は意義について述べるとともに、協力団体・企業には募集広告におけるロゴや名称の掲出、マーケティング資料の提供などのメリットがあることを強調し、旅行会社や航空会社、政府観光局などの参画を呼びかけた。今後は協力企業・団体を確定し、3月には発表する予定。
この日はそのほか、中部国際空港やダイヤモンド・ビッグ社、外務省、文部科学省、日本学生観光連盟がそれぞれ、若者の海外旅行促進に向けた取り組みを説明。終了後の構成員及び観光庁への取材では、特に中部国際空港による「若年層渡航促進事業」に対して、小学生向けの「親子周遊フライト」から大学生向けの各種イベント・広報活動まで多岐に渡る取り組みに賞賛の声が上がったが、あわせて「初耳だった」とのコメントも多く、関係者の連携強化の必要性が浮き彫りとなった。ちなみに会議の場では、今月から徴収が始まった国際観光旅客税の使途などに関するコメントはなかったという。
同会議は今後、並行してその他の団体・企業が取り組みを報告するための「準備会合」を開催しながら5月に第2回、11月に第3回の本会議を開催。「20歳初めての海外体験プロジェクト」の進捗報告などを交えながら、各取り組みをまとめて「応援プログラム」を策定する。観光庁参事官(旅行振興担当)の永井一浩氏によれば、応援プログラムについては「1つのブランドやキャッチフレーズを掲げて、統一的なキャンペーンにしたい」とのことで、策定後は広報活動にも力を入れるという。