ANAビジネスジェット、業務渡航の取込強化-まずは欧米での利用促進へ
ターゲットは企業のトップ
旅行会社との協力で日本市場の市場拡大はかる
5ヶ月で約10件の契約、定期便との組み合わせが好調
ANAビジネスジェットでは、国際線定期便から現地で乗り継ぐ「エリアチャーター」と、日本から海外へ直行する「グローバルチャーター」を提供する。エリアチャーターについては、定期便とビジネスジェットとの乗継が円滑になることから、基本的にはNH便の利用を推奨している。
まずは「北米を中心にニーズの多いエリアチャーターから取り組み、その後近距離を中心にグローバルチャーターを伸ばしていく」(野村氏)方針。エリアチャーターでビジネスジェットを利用するメリットを理解してもらい、グローバルチャーターへつなげたい考えだ。
佐々木氏によれば、8月から12月までのビジネスジェットの取扱件数は約10件で、そのほとんどがエリアチャーター。社長や会長による北米での利用が多いという。取扱件数は当初の想定を上回っており、好調に推移しているという。
野村氏は、ビジネスジェットの利用頻度は1社につき年に2、3回程度と推察し、「ビジネスジェットの価値が認められていけば複数の役員が同時に移動する際に利用するなど、社長や会長のみの利用から裾野が広がっていくのでは」と期待を語った。
こうしたビジネスジェットのイメージ転換への契機となりそうなのが、国外から多くのビジネスジェットの飛来が見込まれる、19年のラグビーW杯や20年の東京五輪など、日本で開催予定の大型イベントだ。実際にビジネスジェットを目の当たりにすることによる認知度の向上や、ビジネスジェット専用スロットの増加、専用ターミナルなどの整備が進み、さらに利用しやすい環境になることが期待できるという。
小型機から大型機までチャーター可能
チャーターの使用機材は、小型機として定員5名のホンダジェット(最大航続距離:2661キロメートル)から、中型機で定員8名のチャレンジャー350型機(最大航続距離:5926キロメートル)、大型機で定員14名のグローバル6000型機(最大航続距離:1万1112キロメートル)などで、予算や人数、距離に合わせて手配する。
佐々木氏は「北米とヨーロッパの各地域に複数のパートナー会社があり、運航体制や安全性、オペレーション状況から選定した会社の機材を提供する」と説明した。一方、グローバルチャーターは双日または双日の子会社が運航管理を受託する機材を活用。飛行距離にかかわらず、成田に駐機しているグローバル6000型機や定員13名から16名のガルフストリームG650型機(最大航続距離:1万2964キロメートル)の大型機を使うことになる。G650型機は季節や風向き、搭乗者数や荷物量にもよるが、東京から米国東海岸および欧州主要都市までノンストップで移動できるという。
NHの国際線からの乗継動線は、北米では通常通り入国手続きを済ませた乗客を専用スタッフが出迎え、専用車でビジネスジェット専用ターミナルに移動し、ビジネスジェットに搭乗する。同じ空港内での乗継の場合、定期便到着後1時間から1時間30分で出発できるという。ヨーロッパはフランクフルトの場合、乗客をボーディングブリッジで係員が出迎え、車で専用ラウンジに移動した後に入国手続きを実施。一般の動線を使わないので、到着後30分程度で出発できる。