サービス連合、自然災害に関し政策要請-政策顧問に有識者2名

  • 2018年11月1日

後藤氏  サービス・ツーリズム産業労働組合連合会(サービス連合)はこのほど、相次いだ自然災害の発生を受け、与野党及び観光庁に対し観光産業の復旧・再生のための政策要請を実施した。同連合では過去の自然災害発生時にも、観光庁との意見交換などを通じて国の観光政策への意見反映を要請しているが、与野党を含めた関係各所へ直接、政策要請するのは今回が初めて。

 サービス連合会長の後藤常康氏は10月31日の記者会見で、政策要請について「大阪北部地震や西日本豪雨、台風、北海道胆振東部地震が相次ぎ、観光産業への影響は大きく今後も自然災害への対応が求められる。この点について国会でもしっかり議論し、国全体で対応してほしいとの意識から、与野党及び観光庁に対応を求めた」と説明した。

10月30日に実施した、自由民主党観光立国調査会への緊急要請の様子  サービス連合では10月2日に国民民主党代表の玉木雄一郎氏や立憲民主党代表の枝野幸男氏とそれぞれ会談し、政策要請と同時に意見交換を実施。10月5日には観光庁長官の田端浩氏にも政策要請した。さらに10月30日には自由民主党・観光立国調査会会長の林幹夫氏を訪ね政策要請した。

 与野党及び観光庁に対する「観光産業の自然災害における復旧・再生に向けた政策要請」の内容は、「政府が主体となった広報活動の推進」「観光産業の維持、需要の喚起に向けた施策の実施」「訪日外国人旅行者への的確な情報提供」を3本柱とする各種政策で、後藤氏は「与野党とも対応の緊急性や全体での取り組みの必要性について同意し、今国会での議論を進めてくれるとの感触を得た」とコメントしている。

 また、サービス連合は、一橋大学大学院経営管理研究科教授の山内弘隆氏と東洋大学国際観光学部教授の矢ヶ崎紀子氏に政策顧問を依頼し、今後は両氏から政策に関する助言、指導を受けることを発表した。初めて政策顧問を置く理由について、後藤氏は「政策提言に際してはこれまで、働く人の視点で一つひとつの課題を取り上げて政策集にまとめ提言してきたが、今後これに加えて観光産業がどうあるべきか、どうありたいかといった観点を含めて政策としてまとめていくには、アカデミックな立場から助言してもらうことが望ましいと考えた」としている。

 山内氏は観光庁の「次世代の観光立国実現に向けた観光財源のあり方検討会」の座長を務め、矢ヶ崎氏は観光庁参事官を務めるなど、いずれも政府の政策や観光行政に精通していることから政策顧問を依頼。両顧問には今後、19年から20年の政策提言の策定や19年の重点政策の策定、21年以降の中期的なビジョンの議論にあたり、学術的、論理的な裏付けのための助言、指導を求めていく。

 なお、サービス連合は10月31日の記者会見で、今年8月1日に策定した「18年度サービス連合の重点政策」についても説明。「災害時の訪日外国人旅行者への対応」「地球温暖化に対する取り組み」「外国人労働者の受け入れ」「若者の海外旅行の機会創出」の4点を重点政策として取り組んでいるとした。