ポリネシア人のふるさと、ライアテアとタハア-楽園タヒチの注目スポット
初の世界遺産、「タプタプアテアのマラエ」
バニラの名産地やラム酒の蒸留所も
ポリネシアンの素朴な生活が残るタハア
タハアはかつてはライアテアとひとつの島だったのが沈降してできたため同じ環礁にあり、ライアテア島からは船で向かう。東京都の足立区とほぼ同じ53平方キロメートルの広さに郵便局と銀行がそれぞれ2つ、交番はひとつだけ。人口5000人の島の人々は誰かとすれ違うたびに挨拶を交わすなど昔ながらの光景を残す。タヒチのお祭り、ヘイヴァの準備をしていた人たちが日本人とわかると「オハヨー」と声をかけてくれるなど、素朴でフレンドリーだ。
バニラアイランドと呼ばれるタハアはバニラの産地。「タヒチのバニラ生産量の8%がタハア島産で、タヒチにだけ育つタヒチアンバニラはリコリス(甘草)の独特なアロマがあり、世界中のパティシエから絶賛されている」とバニラツアー社のノエ・プランティエ氏は説明する。島には100以上の小さなバニラ栽培地があるが、人の手による受粉から収穫を経て乾燥、熟成と手間がかかり、世界全体のバニラ生産量のうちタヒチ産はたったの1%ほどという貴重さだ。
西海岸のタプアムの港からも近いところにパリパリ・ラム酒蒸留所がある。創業して3年の新しい施設だが、サトウキビから香り高いラム酒を生産しており、醸造やバーボン樽での熟成などの工程を案内してくれるほか、バニラの乾燥や発酵などの過程もみられる。ラム酒だけでなく地元産のバニラはじめ、石鹸やオイル、虫除けなども販売しているのでタハア島の貴重なお土産が手に入る。
近年タハア島へ行く日本人が増えているのは、ル・タハア・アイランド・リゾート・アンド・スパ(60室)の人気によるもの。タハア島西側のモツにある同リゾートはライアテアの空港から専用ボートで約40分。建物は地元産の材料を6割使い、ポリネシアの伝統的な建築様式による温かみのある造りで、タヒチ唯一のルレ・エ・シャトーメンバー。池に面したスパも開放感があり、歩いていけるコーラルガーデンでは滞在中何回でもシュノーケリングが楽しめる。日本人ゲストリレーションがいるのも安心だ。
タハアの島にはペンションタイプの宿もある。タハア島の北部、行政施設があるパシオから車で約15分にあるファレ・ペア・イティ(6室)は合気道を教えていた親日派のフランス人が経営するペンションで、ポリネシアスタイルの6つのバンガローにはジャグジーが備わる部屋もある。新鮮な魚を使った料理のほか、ガーリックが効いたサシミ用のタヒチアンソースが絶品。スノーケリングやモツバーバキューなどのアクティビティが用意されているほか、小さい宿ながらタヒチアンディナーショーも催され、ウエディングセレモニーもアレンジできる。