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週間ランキング、1位はJTBのバーチャル店舗、ノックスクート関空就航も

[総評] 今週の1位は、JTBが6月にテストを開始した「リモート接客システム」についての記事でした。JTBの髙橋社長は「デジタルとヒューマンタッチの融合」を目標に掲げておられ、この記事ではその一端をご紹介できたのではないでしょうか。そもそも「リアル」と「ネット」にどう向き合うかは旅行業界における最大の課題といっていいでしょうし、しかもそれがJTBであれば注目されて当然です。

 JTBのような大企業を「巨象」と例えることがありますが、往々にしてその裏には、規模が大きく力が強い一方で動きが鈍いことを指摘する意図があったりします。今こうして書いているのはそれを揶揄しようというわけではないのですが、そもそも3万人近い従業員を抱えるJTBが10名、あるいは100名規模の会社と同じように動けるわけはありません。

 先日、NHKの「サラメシ」という番組の、大企業の社長はどのような昼食をとっているかという企画にJTBの髙橋社長が登場され、一般社員とのコミュニケーションランチの様子が映されていましたが、そうでもしなければコミュニケーションがとれない、どころか自分の会社の社長はどんな雰囲気の人物で身長はどれくらいで、といったことも伝わらないのです。

 そういった意味で、JTBのような規模で社長が「第3の創業」、あるいは「デジタルとヒューマンタッチの融合」などといっても、そのリアリティが現場に共有されるまでには相当な時間がかかり、さらに伝言ゲーム的な難しさもあるわけで、そうした中で今回の記事のような戦略の具体化は非常に重要な意味を持つものと思われます。

 加えて、コミュニケーションやリアリティは「バーチャル店舗」における「リモート接客システム」にとっても根幹にあたるキーワードでしょうから、リモート接客が進化すれば逆に社内のコミュニケーションにも活用することができるようになるかもしれません。

 ちなみに、リアルとネットという意味では今週、ランク外ながら提携するトラベルニュース社から提供いただいた記事も掲載しましたが(リンク)、こちらはまったく別の切り口で面白い内容となっていますので、是非ご一読をお勧めします。

 また、今週は4位にノックスクート(XW)が10月から関空へ就航することをお伝えした記事がランクインしました。XWは、改めて説明するまでもないかもしれませんが、タイのノックエア(DD)とシンガポール航空(SQ)子会社のスクート(TZ)が共同出資して14年に立ち上げた中長距離専門のLCCです。

 ランキングを見ていて感じたことは、もはやLCCが新路線を開設するといってもなんの驚きもないという点で、むしろそこに少なからず驚きました。LCC元年といわれた12年やその前後は、例えばエアアジアX(D7)の就航を黒船襲来のように感じていたわけですが、約6年が経過した今、当時と何が変わったかと振り返ると、もちろんLCCのキャパシティは拡大しているものの、旅行会社の数が大きく減ったわけでもなければFSCはFSCとして飛び続けており、大山鳴動して鼠一匹、とまではいかないまでも当時からすれば拍子抜け、あるいは肩透かしのような感覚です。

 もちろん、当時から当欄で指摘していたLCCとFSCの境界の不鮮明化はますます進行している印象で、FSC側はベーシックエコノミーなる運賃を作ってみたり、あるいはさらに足元が広いわけでもないただのエコノミークラスでも窓側、通路側を有料オプション化しようと検討したりしているようですし(リンク)、そもそも座席の急増はインバウンドあってこそで、このように諸々変化はしているわけですが、旅行業界全体としてLCCが浸透する前後でパラダイムシフト的な変化が起きたかというとそこまでではないような気がします。

 先週も「NDC後の世界」などと書いてみたものの(リンク)、こういった形で過去を振り返るとふと我に返るような気がします。「ゆでガエル」という警句もある一方、いたずらに恐怖をあおってオオカミ少年のようになるのも本意ではなく、より良い形で少しでも皆様のお役に立てるよう考えていきたいと思っています。(松本)

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