JATA、海外旅行で3年ぶりの提言、初の「予算要望」も

  • 2018年4月1日

会見で説明する生田氏  日本旅行業協会(JATA)は3月30日に記者会見を開き、16日付で観光庁に提出した、日本人の海外旅行の促進に向けた新たな政策提言の内容を明らかにした。タイトルは「ツーウェイツーリズムによる交流拡大の実現に向けて ~相互交流9000万人時代~」で、「双方向交流の促進」や「若者の国際化支援」など5つのテーマで25項目の取り組みを提案。政府が策定を進める「観光ビジョン実現プログラム2018」などへの反映をめざす。また、2019年度以降の事業化に向けて、半分近くの項目について初めての「予算要望」をおこなった。具体的な金額などは示していない。

 今回の提言は、19年1月の「国際観光旅客税」導入などを受けて策定したもの。政府は日本人と外国人の両方の出国者から1人一律1000円を徴収し、訪日旅行向けの環境整備策などを中心に財源を投入する方針で、1月に開催した新春記者会見においてJATA会長の田川博己氏は「日本人の海外旅行にも裨益する使途を」と強調し、遅くとも3月までに提言を取りまとめる考えを明らかにしていた。現状では、出国税の4割は日本人が負担する。

 今回の提言では冒頭で、政府目標である20年の訪日外国人旅行者数4000万人に対して日本人海外旅行者数2000万人、25年の訪日外国人旅行者数6000万人に対して日本人海外旅行者数3000万人と、バランスのとれた交流人口の目標を掲げることがが観光大国として必要と主張。JATA海外旅行推進委員会副委員長を務める、JTBワールドバケーションズ代表取締役社長の生田亨氏は「タイトルには日本人海外旅行者数についても政府目標を掲げてほしいという強い気持ちを込めた」と説明した。

越智氏  JATA理事・事務局長の越智良典氏によれば「双方向交流による地方創生」など双方向交流に関する項目は、初めて提言に盛り込んだもので「これまでは我々が自主的に取り組んできたので、要望したことがなかった」という。また、テクノロジー導入に対する助成など、旅行産業の価値や生産性の向上に資する取り組みにも予算を要望。17年度補正予算と18年度本予算においては海外旅行者の安否確認のための情報プラットフォーム構築に予算が配分され、海外旅行に特化した事業に初めて予算措置が認められたが、19年度以降も政策による海外旅行促進の後押しを受けたい考えだ。

 一方で、これまで要望してきた若者のパスポート取得助成など、現時点で実現性が低いと見られる項目については盛り込まなかったという。また、世界観光機関(UNWTO)における日本の理事国入りですでに実現した「国際観光におけるリーダーシップ向上」なども今回は除外した。新たな提言の要望項目は次ページの通り。

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