トップインタビュー:アップルワールド新社長の須崎氏、取締役の唐津氏

買収後もホールセールに注力
ホテル在庫とニーズのマッチングに注力

-現在のAPWの事業内容についてお聞かせください

唐津氏

唐津 日本人の海外・国内旅行と、訪日旅行を含む海外発海外などの国際旅行を扱う、BtoBのホールセール事業にほとんどのリソースを投入しており、収益の大半を占めている。BtoCのホテル直販サイト「ホテリスタ」も展開しており、事業戦略として一時的にBtoCに注力した時期もあったが、今後も引き続きBtoBに注力する。

須崎 プラットフォーマーとして、アップルワールドの在庫を最適化し、旅行会社に使っていただくことが重要。将来的にはBtoCの再強化を検討することもあるかもしれないが、まずはBtoB事業を伸ばしたい。

唐津 アップルワールドは1軒のホテルに対し、ランドオペレーターやOTAなどの仕入先を一括で検索し、予約できるマルチベンダー方式を取っており、メタサーチ的なところがある。旅行会社はそれぞれの仕入先から、ニーズにあった客室を選択することができる。

 ランドオペレーターなどが仕入れるホテルは合計40万軒から50万軒で、このうち実際にウェブサイトに掲載しているのは約11万軒。現在はどの旅行会社にも同じ在庫を提供しているが、今後は、業務渡航系の旅行会社にビジネスホテルを提供する比率を増やすなど、旅行会社ごとに最適化されたシステムソリューションを提供していきたい。

須崎 じげんでは、不動産情報では450万軒から500万軒、求人情報では80万件と大量のデータがあるが、機械学習などにより、いかに利用者に最適なものを提供していくかを長年研究してきた。アップルワールドから旅行会社へのサービス提供には、じげんのマッチングテクノロジーが生かせると考えている。


-より旅行会社に利用してもらうため、どのような取り組みをおこなっていますか

唐津 BtoCに注力していたことなどから、旅行会社の間でアップルワールドの知名度が下がっていた時期もあったが、3年ほど前から再びホールセールに注力したことで、知名度も上がってきた。2年ほど前に実施した旅行会社向けのアンケート調査では、「ホテル情報、クチコミ情報などコンテンツが充実しており、使い勝手がいい」という評価をいただいた。

 2年ほど前からはコールセンターを設け、旅行会社からの予約を受け付けている。最近では、旅行会社の希望する予算に合わせて、ホテルを選んで見積もりを立てるサポートなども実施している。旅行会社の満足度を高めるため、ウェブサイトのUI(ユーザーインターフェイス)やUX(ユーザーエクスペリエンス)の向上だけでなく、オフラインの人的サービスも付加価値として力を入れる必要がある。

 また、旅行会社に出向いて勉強会を開催し、ホテルの情報だけでなくデスティネーションの最新情報なども提供している。今はエンドユーザーのほうが情報を持っている時代なので、店舗のスタッフがお客様にしっかりと情報を伝えられるようにサポートしていきたい。