観光庁、出国税導入に向け改正法案提出へ、年度内成立めざす
観光庁長官の田村明比古氏はこのほど開催した業界誌向け会見で、来年1月の国際観光旅客税(仮称。いわゆる出国税)導入に伴い、「外国人観光旅客の旅行の容易化等の促進による国際観光の振興に関する法律」(外客旅行容易化法)を早急に改正したい考えを示した。同法で出国税の使途を明文化するとともに、現在の旅行市場の環境に即して内容を改める方針。改正法案を1月22日に召集される通常国会に提出する予定で、年度内の成立をめざす。
使途については、昨年12月に「観光立国推進閣僚会議」で基本方針を決定したところ。「ストレスフリーで快適に旅行できる環境の整備」「我が国の多様な魅力に関する情報の入手の容易化」「観光資源の整備などによる地域での体験滞在の満足度向上」の3分野を明文化する。
田村氏は、1997年に同法が施行された当時と比べると、訪日外国人旅行者数は7倍以上に増加し、旅行者がFIT化するなど市場環境も大きく変化していることを説明。「20年前の古い法律は手直しをする必要がある。これまでは旅行費用の低廉化、外国人観光客に対する接遇方法の効率化などが主な内容だったが、観光資源の開発・活用や観光情報入手の容易化などについても盛り込みたい」と語った。
例としては、努力義務として交通事業者のWiFiの整備などを挙げ、「お客様目線に立った利便性の向上について、努力していただく仕組みにしたい」と語った。取り組みを促進するインセンティブについては「予算との兼ね合いにはなるが検討していきたい」と述べた。
このほかに田村氏は、同法の通称についても、現在の「外客旅行容易化法」から、「国際観光振興法」に変更したい考えを説明。「訪日向けの施策に重点を置きがちだが、我々の目的は国際観光旅客の往来の促進、つまりは双方向の観光交流促進」と語り、「新たな財源もインバウンドだけでなく、アウトバウンドのお客様にもメリットを感じてもらえるように使っていく」と改めて強調した。