週間ランキング、1位は旅工房決算、出国税の議論も

[総評] 今週の1位は旅工房の中間決算についての記事でした。1200円超の水準を維持していた株価が決算発表直後に900円台前半に落ち込んだことだけでも決算の中身が知れようというものですが、日経平均が大きく上昇するなかで通期予想を大幅に下方修正するなど、いわゆる「上場ゴール」のそしりをまぬがれない状態です。

 ネット上では株主たちが書き込む罵詈雑言レベルの怒りの声が多数見られ、現場の皆様の士気にも関わるだろうと思われます。しかし、今後どのようになっていくのか見当もつきませんが、事態の好転を予想できる材料は乏しいのが現実でしょう。

 一方、この1年強で旅工房以外でもエボラブルアジアやオープンドアの上場が続いているところで、これらの2社は公開価格以上の株価を維持し、特にオープンドアは右肩上がりのトレンドです。何がこうした違いを生むのか分かりませんが、経営者がその責任を負うことは間違いありません。

 旅工房の高山泰仁社長は、上場前後にはトラベルビジョンを含めてメディアに登場されていたものの、最近は見かけません。できるならば、現状をどのようにご覧になっていて、今後どのような策によって巻き返しをはかるのかお聞きしたいものです。

 なお、第6位の記事の通り12月にはハナツアージャパンもIPOする予定とのことです。ツアーオペレーターが上場するというのは日本では他に例がないような気がしますが、言わずと知れたハナツアーグループですので特別かもしれませんし、あるいは訪日の好調さが背中を押しているのかもしれません。同様の流れが続くのか、そして上場後のパフォーマンスはどうか、気になるところです。

 さて、このほか目をひくところでは、第8位に出国税に関する記事がランクインしています。この夏ごろから突然話題になり始めたと思っていたら半年も経たずに有識者が半ば強引に提言をまとめるなど、なんとか実現して金を確保するんだという誰かの強い執念のようなものが感じられます。

 今年度の観光庁予算が256億円であるのに対して、出国税は400億円以上と1.5倍以上の規模となります。観光立国を進めていくなかでより大きな財布を持つことは意義深いのは間違いありませんが、日本人も対象となっていながら享受できるメリットが不明確であるなど議論の余地は大きいのが現状のようです。

 個人的には1000円程度で出国者数が激減するとは思えず、はっきり言ってしまえば、トラベルビジョンとしては旅行業界に利があれば賛成であり、そうでなければ大反対という立場です。

 もちろん空港のハードなど一旅行者としての利便性向上は歓迎ですが、それよりも例えばパスポート取得率や出国率の問題、あるいは燃油サーチャージのように顧客への説明を旅行会社がしなければならない負担増などに対してどのような配慮がなされるのか、注視していきたいと思います。(松本)

※訂正案内(編集部 2018年2月10日08時15分)
訂正箇所:第1段落第2文
誤:日経平均は大きく上昇するなかで公開価格を割り込み通期予想も大幅に下方修正する

正:日経平均が大きく上昇するなかで通期予想を大幅に下方修正する
※旅工房は2017年9月末に1対2の割合で株式分割を実施しており、公募価格が1370円であったことを考えると「公開価格を割り込」んでいるとの表現は誤りでした。お詫びするとともに訂正いたします。

日経平均は大きく上昇するなかで公開価格を割り込み通期予想も大幅に下方修正

▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2017年11月10日0時~11月17日15時)
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