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IRの経済効果や課題について専門家が説明-日本型IRセミナー

東京は2.2兆円、大阪は1.6兆円規模に
関連機関の連携がカギ

会場の様子  政府は2016年12月に「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律(IR推進法)」を施行し、ギャンブル依存症対策などを含む具体的な制度設計に入った。カジノに加えて国際会議場、ホテル、商業施設、アミューズメントパークなどを集めた統合型リゾート(IR)は、観光立国や地域活性化に向けた新たな原動力として注目が集まっている。この動きを受け、米日経済協議会(USJBC)はこのほど、「日本型IR〜観光振興と経済成長のために〜」と題したセミナーを開催。IRの経済効果や、反政府勢力の排除、ギャンブル依存症対策について報告をおこなった。


IR議連荻生田氏、「観光型IR」めざす
バーンハード教授「費用対効果高い

IR議連事務局長の荻生田氏  セミナーの開会にあたり、自民党幹事長代行で、超党派のIR議連で事務局長を務める荻生田光一氏は「IR推進法には観光の振興、地域経済の活性化、財政再建の3つの柱がある」と説明し、「国民の幅広い理解を得るために努力していく」と述べた。また、IRを観光立国への原動力と位置づけた上で、「家族連れで楽しめ、日本の伝統を発信し、MICEなどを含む滞在型観光を推進するIRをめざす」と強調。「観光型IR」をめざすとともに、今後は依存症対策と実施法案の成立に向けて尽力する姿勢を示した。

ネバダ大学のバーンハード氏  セミナーでは3つのセッションを実施した。セッション1では、ネバダ大学ラスベガス校教授のボー・バーンハード氏が、IRの経済波及効果に関する研究発表をおこない、現在は世界39ヶ国にIRがあると報告。カジノなどのゲームは経済効果の面で段階があり、最も経済効果がないものが違法賭博で、以下は簡易賭博、ゲームサロン、ローカルカジノと続くことを説明した。また、「観光型IRは観光客から利益を得るとともに、費用対効果が最も高い」とした上で、「IRには大きな投資が必要だが、雇用を生み、人を呼び寄せる。違法性のある賭博を最小化させることにもつながる」と主張した。

 日本ではすでに機会によるギャンブルゲームとしてパチンコが存在しており、それを含むゲーム機の台数は約460万台。アメリカの約87万台よりもはるかに多く、世界のゲーム台数の約60%を占める世界最大の機械ゲーム市場になっているという。また、同氏は1人当たりの数字でも人口28人に1台の割合と、世界2位の多さになっていることを挙げ、日本市場のポテンシャルの高さを指摘した。

 このほか、バーンハード氏はシンガポールの例を挙げ、10年に最初のIRができる以前の方がギャンブル依存症は多かったが、地域社会と政府による取り組みの結果、その数は減少したことを報告。「日本にもギャンブル依存症、税制、ゲーム台数、許認可など課題はあるが、観光型IRを進めればいい方向に向かうだろう」と締めくくった。