新財源検討会、議論は「出入国」にフォーカス-観光庁
観光庁は10月19日、新たな財源確保策について検討する「次世代の観光立国実現に向けた観光財源のあり方検討会」の第4回会合を開催し、具体的な導入策や使途などに関する「論点整理」のための議論を開始した。同検討会は国内外の旅行者の受益と負担のあり方や、訪日旅行への影響を勘案した上で、「出国税」などの新財源について検討するもの。これまでの会合では旅行業界や航空業界などから、財源確保の選択肢として俎上に載せられている「出入国」「航空旅行」「宿泊」について、旅行者に負担を求めた場合の影響などをヒアリングしている。
終了後に記者向けの説明会を開いた事務局は、次回の会合でも引き続き「論点整理」のための議論を実施するため、次回会合の終了後まで議論の詳細な報告は控えるとした。今回の会合では「新たな観光財源の必要性」「確保の手法」「使途」の3つのテーマについて意見交換し、このうち「新たな観光財源の必要性」については「共通認識が得られた」という。「確保の手法」と「使徒」については引き続き議論する。
その他には、現時点では「明確な方向性はまとまっておらず、(新たな税や手数料などの)金額についても、何も示されていない」と状況を伝えるとともに、財源確保の3つの選択肢のなかでは「出入国」が「受益と負担の関係から適切では、という意見が多い」と説明。次回以降の会合では、注目を集めている「出国税」など、「出入国」にフォーカスした議論が進む可能性を示唆した。
なお、新財源によって得た観光予算の多くは、訪日外国人旅行者の受益が大きい施策に充てられる可能性が高いと見られており、「出国税」などを導入した場合は、日本の旅行会社や旅行者からどの程度の理解が得られるかがポイントとなる。日本人の海外旅行需要の減退を懸念する日本旅行業協会(JATA)は、出入国に関して負担を求める際には、対象を訪日外国人旅行者に限ることなどを要望。一方、観光庁長官の田村明比古氏は18日の会見で、新財源の確保の手法については「国際社会では『内外無差別』が基本的な原則」と説明している。
今後は10月24日に第5回の会合を開催して、引き続き論点整理のための議論を進める。その後、31日の第6回会合で取りまとめに向けた議論を実施する。11月中には中間取りまとめをおこない、具体策を来年度の税制改正大綱に盛り込む予定。