17年上期の宿泊業倒産は17件増の46件、負債総額152億円
東京商工リサーチ(TSR)によると、2017年上期(4月~9月)における負債総額1000万円以上の宿泊業の倒産件数は、前年比17件増の46件と大幅に増加し、上期としては2年ぶりに前年を上回った。負債総額は39億4500万円増の152億3500万円で6年ぶりに増加。ただし、ここ20年間では前年上期に次いで2番めに低い水準となった。1月から9月までの累計倒産件数は10件増の66件だった。
負債総額別では、1億円以上5億円未満が最も多く、20件で全体の43.5%を占めた。そのほかは1000万円以上5000万円未満が6件、5000万円以上1億円未満が9件、5億円以上10億円未満が7件、10億円以上が4件だった。
資本金別では、1000万円以上5000万円未満が19件で最も多く、全体の41.3%を占め、以下は100万円以上500万円未満が13件で続いた。従業員数別では、5人未満が32件で全体の69.5%を占めた。50人以上の会社の倒産はなかった。
形態別では「破産」が76.1%を占める35件で最も多く、以下は「特別清算」が10件、「再建型の民事再生法」が1件と続いた。事業再生ファンドやスポンサーなどの支援で新会社に事業を移管し、特別清算を申し立てるケースが増加しているという。主な倒産としては、石川県の温泉旅館「喜多八」が負債総額12億3200万円で、長野県の「ホテル雄山」が11億6300万円で、それぞれ破産開始決定を受けている。
地区別では、中部が前年の3件から4倍の12件に急増。長野県の倒産件数が6件増の8件と大きく増加したことが影響した。近畿は3から6件に倍増。一方、北陸は4件減の1件、関東は2件減の8件と減少した。
9月単月の宿泊業の倒産件数は2件増の8件で、負債総額は2億7400万円増の21億8600万円となり、ともに2ヶ月ぶりに前年を上回った。負債総額別では、1億円以上5億円未満が5件で全体の66.6%を占めた。最も金額が大きかったのは、特別清算開始決定を受けた大分県の観光ホテル「亀山亭」の5億5000万円。
倒産形態は「破産」が7件で、特別清算が1件。地区別では関東の3件が最多で、その他は東北、中部、近畿、中国、九州が各1件。
17年上期の旅行業の倒産件数は4件増の17件で、負債総額は2億5100万円増の17億2300万円。9月単月の倒産件数は1件減の2件で、負債総額は1億7400万円減の3600万円だった。旅行業の詳細は別途記載(下記関連記事)。