新財源の検討開始、出入国・航空などに焦点-観光庁
▽日本人の受益のあり方が課題に-旅行業界にもヒアリング
財源確保の選択肢として挙げた3つのうち「出入国」については、査証手数料以外で出入国行為に負担を求めている事例として、入国のためのESTAに加えて、韓国の「出国納付金」やオーストラリアの「出国旅客税」など、出国のための負担金を紹介。ただし外国人出入国者については受益者と捉えやすい一方で、渡航費用の上昇による訪日需要減が考えられること、日本人出国者については業務渡航で頻繁に出国する人などへの配慮、出入国を所管する法務省との連携が課題になるとした。
「航空旅行」については、航空券への課金の仕組みが国際的に整備されているメリットがある一方で、国内線にはすでに既存の財源確保策として航空機燃料税が課せられていること、国内線にさらなる負担を課した場合、旅客の大半を占める日本人の受益のあり方が課題になるとした。「宿泊」についても、国内宿泊者の約85%を占める日本人からも宿泊税などを徴収した場合に、訪日旅行促進を主目的とする施策の受益者とはならない可能性を懸念。また、すでに自治体が財源確保のために宿泊税を徴収しているケースもあり、調整が必要になるとした。
観光戦略課は会合での委員の反応について「新たな財源を検討することについて、ポジティブな意見が多かった」と説明。これらの3つの選択肢に並ぶ特段のアイデアは挙がらなかったという。なお、「出国税」の徴収が実現した場合には、旅行会社も代行納付者となる可能性があり、その際にはシステム面の対応などでさらなる負担を強いられる恐れがあるが、そのことについて委員からの言及はなかったとのこと。
今後は9月28日に2回目の会合を開催し、最も影響が大きくなると見られる航空業界からヒアリングを実施する予定。その後は10月に3回程度の会合を開いて、旅行業界、地方自治体、宿泊業界、海運業界、鉄道業界などからもヒアリングをおこない、議論を進める。検討の状況によっては11月にも会合を催す考え。旅行業界からのヒアリングについては、対象として日本旅行業協会(JATA)と全国旅行業協会(ANTA)を考えているという。