日本航空、海外ビジネス客の取込強化へ-3拠点でセールス注力
日本航空(JL)代表取締役副社長の藤田直志氏は、業務渡航に関わる旅行会社やサプライヤー、出張元の企業などが加盟する国際的組織ACTE(Association of Corporate Travel Executives)が8月22日と23日に都内で開催したグローバル・コーポレート・トラベル・カンファレンスの会場で本誌などの取材に応じ、海外のビジネス客の取り込みを強化する考えを示した。JLは2006年から、ACTEが世界各地で開催するさまざまなイベントに参加しており、今回も協賛。藤田氏は初めて日本でカンファレンスが開催されたことについて述べた上で「イベントに協賛することで、JLブランドの認知度向上と、セールス活動の強化につなげたい」と語った。
同社は4月に発表した17年度から20年度までの中期経営計画で、海外市場を「国際線成長戦略の柱」と位置づけているところ。藤田氏は、JLの国際線旅客の45%は外国人旅客が占めていることについて説明した上で、「今後、外国人旅客の利用が増えるなかで、JLはグローバルブランドにならなければならない」と強調した。
これまでの取り組みとしては、一般企業や業務渡航の手配などをおこなうトラベル・マネジメント・カンパニー(TMC)向けの専用セールスチームとして、13年に「グローバル・ストラテジック・セールス部門」を立ち上げ、米国のロサンゼルスに拠点を設けたことを紹介。15年にはロンドンに、今年4月には香港にも拠点を設置し、計30名で北米、欧州、アジア市場でのセールスに注力していることを説明した。
加えて、海外の36支店で現地の外国人を積極的に雇用し、各地の市場環境に即したセールスを展開。今後は特に、約2500万人の市場規模を見込める東南アジアからの訪日需要に加え、約1200万人を見込める東南アジア/成田/北米間などの乗継需要の獲得に取り組む。
競合する全日空(NH)について藤田氏は「(国際線の)路線や便数はNHの方が多い」と述べる一方で、「JAL SKY SUITE」仕様の機材を増やすなど、ビジネス需要の取り込みに向けたサービスを強化していることを強調。また、NHが加盟するスターアライアンスはネットワークの拡大に、JLが加盟するワンワールドは乗客に提供するサービスの品質に重きを置く傾向にあることを説明し、「自然災害やテロ事件などの影響で旅客需要が落ち込むなか、よいサービスが提供できる航空会社は生き残れる」との考えを示した。
藤田氏はそのほか、オーストラリアやタイなどの富裕層の多くが、レジャー目的で日本を訪れる際にビジネスクラスを利用していることを紹介。これらの「ハイイールドのレジャーマーケット」についても注力するとした。