田川氏、旅行会社の「大きな責任」力説-JATA総会
日本旅行業協会(JATA)は6月22日、第61回の定時総会を開催した。冒頭で登壇したJATA会長の田川博己氏は16年度を振り返り、貸切バス問題、情報漏えい問題、違法残業問題など「コンプライアンスに関わる事案」が立て続けに起きたことを説明。特に3月にはてるみくらぶによる「弁済保障制度を揺るがす」大型倒産が起きたことについても述べ、「(旅行会社が)企画力を発揮するには、大きな責任を持っていることを再認識することが必要」と力説した。
田川氏は「1982年の旅行業法の改正で、それまでの『旅行代理店』から、企画旅行を主催する『旅行会社』になったことを今一度思い起こすべき」と強調するとともに、「高い志と矜持を持ち、『旅の力』を高め、価値創造産業になるよう挑戦していこう」と主張。さらに、今年は国際連合の「持続可能な国際観光年」であることに言及した上で、「旅の力で雇用創出、貧困撲滅、国民同士の理解を深めて平和をもたらすこと」が重要と語った。また「テロや難民を理由に自由な往来を妨げる保護主義に対しては、断固反対しなければならない」とも訴えた。
17年度については、4月に発表した事業骨子における「海外旅行復活への需要喚起」「国内旅行の活性化を着実に」「訪日旅行の質向上への支援策」など7つのテーマのなかでも、特に海外旅行の需要喚起に注力する考えを説明。2月に新設した「アウトバウンド促進協議会」で、旅行需要の創出や商品企画力の向上などに取り組むとともに、地方支部と連携してイベントやセミナーを開催し、地方需要の底上げをめざすという。
そのほかには「旅行業界が外交の一部になる時代が来たと感じている」と語り、政府と協力して各国と交流促進に取り組む考えを示した。田川氏は5月に北京で開催された「一帯一路・国際協力ハイレベルフォーラム」に政府代表として参加した自民党幹事長の二階俊博氏とともに、国家旅游局長の李金早氏と会談したところ。そのほか、4月に観光関連6団体と共同で「海の日」などを含む祝日3連休化(ハッピーマンデー)の維持を訴えたことについても述べ、「今まで以上に政治活動に向き合い、旅行業界の利益確保に向けて活動していく」と意欲を示した。
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