週間ランキング、1位は関空/ベトナム線、2位はASX戦略

[総評] 今週の1位はジェットスター・パシフィック航空(BL)が関空からハノイとダナンへ新規就航するという記事でした。ジェットスターグループは、シンガポールのジェットスター・アジア(3K)や日本のジェットスター・ジャパン(GK)など、各地で現地法人を設立してそれぞれ路線を展開し、それがグループ全体のネットワーク拡充につながっていますが、今回はベトナムの2路線ということです。

 GKは日本航空(JL)と共同で設立されましたが、ところ変われば、でベトナムではベトナム航空(VN)がパートナーとなっており、アライアンスなどおかまいなしの事業展開は、さすがLCCというところでしょうか。

 また、関西圏にとってはLCCの路線網がまた一つ広がるということで、ますますその存在感が増していきます。金曜日に配信した香港の記事(リンク)でも、関西圏の観光需要拡大をお伝えしていますが、多分にLCCによる底上げがあったと見て良いでしょう。

 聞くところによると、最近は企業の社員旅行などでもLCCが使われる例が出てきているそうで、好むと好まざるとに関わらず環境が刻一刻と変化していることを実感します。

 変化という意味では、2位以下でも気になる話題が多く入っています。2位はANAセールス代表取締役社長の今西一之氏にお話をお聞きした記事ですが、全日空(NH)によるエアバスA380型機のホノルル線投入を控え、慌ただしく準備が進んでいる様子がうかがえます。

 日本の旅行業の歴史について学ぶと、必ずボーイングB747型機による大量輸送時代の到来が良くも悪くも現在の業界の出発点になったと知ります。NHのA380型機は3機だけで、当時のような影響をもたらすことはないかもしれませんが、ことハワイ路線という意味ではハワイアン航空(HA)や日本航空(JL)のコナ線を含めて大きな変化を予感させます。

 また、3位はカタールが周辺各国から国交断絶されたことに関連した記事ですが、これもまた従来の感覚では考えられなかったような話題です。

 最近、昨今の国際情勢は後世の教科書に記述されることになるような気がしてなりません。歴史では年単位、あるいは何十年の単位で出来事がまとめられるわけで、その意味ではまだ年表にトピックとして掲げられるような事態は起きていないように思うものの、その帰結がサラエボ事件のようかキューバ危機のようかは別にして、あたかも地殻プレートがたわみ、いまにも地震を起こしそうな緊張の高まりを感じます。

 また逆に、日本に生まれてから数十年、当たり前のように平和を享受し、過去の争いの愚かさを学んできたものの、この緊張感を前にすると、実は地震がなくなることはないように、平和というのはなにかしら構造的に実現不可能なのかもしれない、とも感じます。

 このようなことを考えはじめると、一個人、一社、一業界の力など限られると無力感を覚えますが、だからといって捨て鉢にはなりたくありません。当欄でも何度も書いていますが、観光産業は平和産業です。一度有事が起きれば、あっという間にビジネスが成立しなくなるのです。この業界に携わる限り、なにかできることはないのか、すべきことはなにか、自問し続けたいと思います。(松本)

▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2017年06月2日0時~06月09日11時)
第1位
ジェットスター・パシフィック、9月から関空/ハノイ、ダナン線(2017/6/7)

第2位
ANAセールス、17年度はハワイに注力、A380導入に向け準備(2017/6/4)

第3位
外務省、カタール断交問題で注意喚起-ドーハ線が次々に運休(2017/6/6)

第4位
1月-3月の国際線座席、伸び率1位の地方は?ANAとJALの差も広がる-OAG(2017/6/7)

第5位
HIS渋谷にVR施設、お台場にプールも-ハウステンボスが東京進出(2017/6/7)

第6位
ロンドンで再びテロ、ツアーは継続、今後に不安の声も(2017/6/5)

第7位
「新たな通訳案内士制度」検討会が初会合、試験や研修など議論(2017/6/4)

第8位
東京のシナジーコーポレーションが破産申請、関連会社も(2017/6/7)

第9位
マレーシア航空、成田/KUL線にA380導入、8・9月限定(2017/6/6)

第10位
澤田氏、ハウステンボスのアジア展開に意欲、交渉を開始(2017/6/7)