訪日消費額、17年1Qは4%増、1人あたり支出額は8.5%減
観光庁によると、2017年1月から3月までの訪日外国人旅行消費額(速報値)は前年比4.0%増の9679億円となり、同期間として過去最高を記録した。旅行者数は13.6%増の654万人で2桁増となったものの、中国人の消費額の落ち込みなどにより、1人あたりの旅行支出は8.5%減の14万8066円となった。
旅行消費額を主要20市場別に見ると、最も多かったのは中国で4.7%減の3718億円。以下は台湾が0.4%減の1334億円、韓国が19.1%増の1180億円、香港が2.8%増の801億円、米国が20.9%増の463億円と続き、上位5ヶ国で全体の77.4%を占めた。前年を上回ったのは14市場で、ロシアが44.8%増の30億円と最も伸長した。
1人あたりの旅行支出が最も多かったのはスペインで、18.5%増の24万8834円。以下は中国が14.9%減の22万5489円、オーストラリアが15.5%減の24万752円、ロシアが17.9%増の19万6177円、フランスが3.6%増の18万4390円と続いた。前年を上回った市場は8つに留まり、旅行消費額上位の中国、台湾、韓国、香港などは前年を下回った。
観光庁長官の田村明比古氏はこのほど開催した定例会見で、「韓国、台湾、香港など近隣の市場については、20代の旅行者や世帯年収が500万円未満の旅行者が増えている」と説明。中国については円高傾向や、越境ECの利用増による買物代の減少などを理由として挙げた。今後については「全体の消費額に加えて、1人あたりの消費額を上げるためのさまざまな施策を講じていきたい」と話した。
消費額を項目別で見ると、最も多かったのは買物代で2.5%減の3748億円。次いで宿泊料金が8.0%増の2543億円、飲食費が7.4%増の1913億円、交通費が6.2%増の1065億円と続いた。各項目の構成比は、買物代が2.7ポイント減の38.7%となった一方、宿泊料金は1.0ポイント増の26.3%、飲食費は0.7ポイント増の19.8%、交通費は0.2ポイント増の11.0%といずれも増加した。
消費項目を国・地域別で見ると、1人あたりの買物代が最も多かったのは中国で、11万9909円となり唯一10万円を超えた。宿泊料金の1位はオーストラリアで9万4263円。次いでスペインが8万6747円、フランスが7万8765円、英国が7万3157円となった。このほか、交通費と飲食費の1位はスペインで、それぞれ5万7742円、4万918円。娯楽サービス費の1位はオーストラリアで2万7158円だった。