16年度の旅行業倒産は2件増の27件、てるみ破産で負債総額7倍

  • 2017年4月11日

 東京商工リサーチ(TSR)によると、2016年度の旅行業の倒産件数は前年比2件増の27件で、3年ぶりに増加したものの引き続き低水準となった。負債総額は3月に発生したてるみくらぶの大型倒産などにより、184億2300万円増の214億2400万円と約7倍に。東日本大震災関連の倒産は3件だった。

 16年度の倒産は東京と大阪を中心に全国で発生。原因は「販売不振」が74.0%を、形態は「破産」が85.1%を占め、売り上げの低迷した会社が破産により精算するケースが多く見られたという。

 3月に破産開始決定を受けたてるみくらぶの負債総額は151億1300万円で、関連会社の自由自在は34億円。これら2社を除くと1件あたりの負債額は1億1644万円で、前年度の1億2004万円よりも微減する。

 TSRは今回の2大倒産について「インターネットでのツアー予約が主流になり、カウンターでの対面販売より簡単に申し込めるようになった一方、資金繰りのために廉価販売をおこなう業者が倒産すると被害者が大きく広がる恐れがあり、ネット社会における旅行取引に警鐘を鳴らす事例となった」とコメントしている。

 3月単月の旅行業の倒産件数は2件増の5件で、負債総額は186億7800万円増の188億2400万円だった。てるみくらぶと自由自在以外で倒産したのは、東京都の第2種旅行業者「東京さくらツーリスト」など。東京さくらツーリストは、東京都が東日本大震災からの復興のために実施していた「被災地応援ツアー事業」において、ツアー助成金を不正に需給していた実態が15年夏に報じられて社会的信用が低下。助成金については返還したものの、その他の債務が返済できず破産となった。

 なお、16年度の宿泊業の倒産件数は18件減の74件で、負債総額は197億9600万円減の344億2400万円。3月単月の倒産件数は4件減の7件で、負債総額は66億8300万円減の60億9000万円だった。宿泊業の詳細は別途記載(下記関連記事)。