変化する需要を分析し、チャンスを拡大-訪日シンポ
年間4000万人・8兆円時代に向け
改めて課題や展望を議論
地方創生にはブランディングが重要
地元住民の意識改革も
フランス観光開発機構在日代表のフレデリック・マゼンク氏は、政府が定めた訪日外国人旅行者数4000万人の目標について「日本には十分なポテンシャルがあるので、高い目標を設定したことは非常に良い」と評価。一方で、「1番の問題は客室数。また、人数が増えるほど伸び率は低くなり、徐々にチャレンジングな状況になっていくことを覚悟しなくてはいけない」と述べた。
そのほかには、地方創生における観光の重要性を改めて示した上で、誘客のためのブランディングの必要性を強調。「都道府県や市町村名をそのまま使うよりも、マーケティングに基づいてブランディングした専用の名称を使った方が良い」と主張し、「香川県が使っている『うどん県』という名称は、知名度のある名産品を活用した上手いブランディング」と評価した。
ナビタイムジャパン代表取締役社長兼CEOの大西啓介氏は、同社が収集したビッグデータを基に、訪日外国人旅行者の動向を説明。旅行者は依然としてゴールデンルートに集中していること、大都市圏ではホテルに加えて、ソーシャルメディアなどでの情報発信を積極的におこなっているゲストハウスが多く利用されるようになってきたことなどを紹介した。
その上で大西氏は「地方はまだ訪れる人が少ない分、ポテンシャルが高いのでは」との考えを示した。同氏は「地方には昔ながらの文化や習慣などが残っているので、観光資源にできるものも多い。日本人にはとっては何でもない日常が、外国人にとっては素敵な体験になる」と強調し、外国人目線での素材の掘り起こしとアピールの重要性を示した。
一方では受け入れる側の意識について「地方には外国人を受け入れることに苦手意識がある人も多い」と指摘。盛岡市との取り組みにおいては、訪日外国人向けに作成した動画を駅前の大型ビジョンでも流していることを紹介し「(将来の訪日外国人の増加を)日常的に目にすることで、地元の人々も外国人が来ることに抵抗がなくなっていく」と説明した。