今年も「ILTM JAPAN」開幕、訪日強化で自治体にアピール
ラグジュアリー・トラベル専門の商談会「ILTM (International Luxury Travel Market) JAPAN」が2月27日にコンラッド東京で開幕した。5回目の今年はセラーが82社、バイヤーが86社参加し、内訳はセラーがアウトバウンド31社、インバウンド51社、バイヤーがアウトバウンド42社、インバウンド46社。そのほか海外メディア15社が参加した。2月28日と3月1日の2日間で、3565件の商談が実施される予定だ。
本誌の取材に応えたILTMエキシビションマネージャーのギャレス・ボーグリー氏は、今回はセラー・バイヤーともに訪日旅行への関心度が高いことを説明。「市場のトレンドは急速に変わるが、今はインバウンドに注力したい」と方針を語った。
また「日本全国の観光素材を掘り起こしたい。そのために、新しい地方自治体に出展してもらいたい」と述べ、昨年からは日本政府観光局(JNTO)と協力し、地方自治体の出展の増加に向けた取り組みを展開していることを説明。昨年11月には三重県の志摩市で、同県やJNTOと共同で海外のラグジュアリー・トラベルの誘致をテーマにセミナーを開催したという。
同氏はこうした各地での取り組みを継続し、セラーの増加をめざす考えを語るとともに、「ILTMを富裕層旅行のマーケティングプラットフォームにしたい」との考えを示した。今回のILTMには神奈川県、静岡県、三重県、奈良県、横浜市、鎌倉市、京都市がセラーとして出展している。このうち神奈川県、三重県、横浜市、鎌倉市は初出展。
一方、バイヤーについては大手旅行会社に加えて、中小の旅行会社の参加を呼びかけており「今回は新しいバイヤーを招聘できた」ことから、今後も取り組みを強化する考えを示した。アウトバウンドのバイヤーについては、フランスの「ILTMカンヌ」や上海の「ILTMアジア」なども訴求する。
世界のラグジュアリー・トラベルの傾向については、芸術・歴史・文化・デザイン・ガストロノミーなどに興味を持つ人が多いことを説明した。なお、この日のオープニングセミナーでは「世界のベストレストラン50」の日本評議委員長でコラムニストの中村孝則氏と、オークション会社のクリスティーズ・ニューヨークのシニアヴァイスプレジデントで日本・韓国美術部門インターナショナル・ディレクターの山口桂氏が登壇。それぞれガストロノミーと日本の美術や文化について講演をおこなった。
そのほか、同日夜のレセプションでは、JNTO理事長の松山良一氏が登壇。「日本は依然として、ラグジュアリー・トラベルのメジャーなデスティネーションにはなっていない」と語り、プロモーションを強化する考えを述べた。今後は「海外の富裕層向けに提案するコンテンツを深掘りする」方針で、ILTMには来年も参加するという。