新卒採用セミナー、辞めない学生を採るコツを紹介-JATA
▽長く働く人材は「旅行業を愛する学生」
厚生労働省が発表したデータによると、全業種における新卒者の3年以内の離職率は約3割。島川氏は離職率が高い理由について「最近の子が打たれ弱いのではなく、『思っていたのと違う』ということが多い」と意見を述べた。最近はインターネットのサイトを利用すると100社同時にエントリーが可能であるなど、旅行会社の実務を理解せずに応募する学生が多いのに対し、旅行会社や航空会社などの企業側は学歴を重視して採用するためミスマッチが起きやすいという。一方で観光学部や観光学科の学生は、旅行業界の良いところと悪いところを理解していることを強調した。
しかし、現状では実際に観光業へ就職する観光学部生の割合が全体の約2割に留まっている。日本学生観光連盟が観光業への就職率の低さの理由を調査したところ「もともと観光関連産業に行きたいとは思っていなかった」との回答が最も多かったという。
これについて、島川氏は「この調査は就活を終えた4年生が対象。『失敗は許されない』という時代のなかで、就職で負けたと思われたくない、という子が多いのでは」と指摘。「観光学部に通っていて、観光業界に行きたいと思っていないわけがない。これが典型的なゆとり発想だが、これを理解することが学生を理解することにつながる」と説明した。
また、「旅行が好き」を理由に応募した学生を不採用とし、経営学を勉強している学生などを採用する企業が多いことも述べ、「一番大事なことはその会社と旅行業を愛している人材を採用することで、相思相愛になること。この業界を絶対に残していこうという意欲のある子達を採用してほしい」と呼びかけた。