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新春トップインタビュー:HIS代表取締役会長兼社長 澤田秀雄氏

「世界のHIS」へ
2020年めどに売上1兆円めざす

-市場動向はどのようにご覧になっていますか

澤田 海外旅行の出国者数2000万人は届かないと思う。やり方によっては届く可能性もあるが厳しい。課題はパスポートの取得にかかる費用や手間暇、政府や地方行政の活動、そして旅行会社が行きたくなる旅行商品をもっと造成することだ。

 インバウンドは2000万人に到達したが、まだ増える可能性はある。ピークがどの程度になるかは何ともいえないが、政府は3000万人とか4000万人といっており、それくらいはいく可能性がある。とはいえ、ホテルなどのインフラが課題になるだろう。

 国内は、我々としては大手に比べてシェアがまだ少ないので伸びる余地があるが、市場は大きくは伸びないと思う。


-日本の旅行会社がインバウンド需要をマネタイズする難しさが指摘されています

澤田 規制は嫌いだが、旅行の品質を確保するためには、例えば日本人ガイドを使うように、日本のオペレーターを使うように、といったものを若干はやった方がいい。やりすぎはいけないが。


-国内旅行はまだまだこれからとのことですが、どのように取り組まれるお考えでしょうか

澤田 商品をたくさん作り、それを国内外の方にご購入いただく。地域ごとにたくさんのオプショナルツアーなどがあるが、それをどんどん作り商品構成を増やしていく。それが地方の活性化にもなる。我々は全国に約300店あるので、その展開は難しくはない。

 仕入れ力という意味では、限界はあるにはあるものの、その代わりしっかり売らせていただく、ある程度の料金でケアさせていただくといった努力をすれば増えると思う。

 買い取りについては、ゴールデンウィークや正月など埋まるのが分かっている時期はそれでもいいと思うが、何でも買い取りとはいかない。さらに、そこは誰が売っても売れるところなので、売れない時期に売るとか、地方の活性化のために商品開発するとか、そういう方がいいのではないか。我々は売れなかった地域を売り、売れない時期のお客様を増やすとか、そうして生きてきた会社だ。

 もちろん、誰が売っても売れるところもやらなくてはいけないが、我々としては新しい創造的なツアーを、今まで行かなかった地域に行くとか、新しいオプショナルツアーを作るとか、そういうことの方がいい。


-M&Aにも注力されるご方針とのことですが

澤田 今後、5年プラスマイナス1年くらいで非旅行業も含めて売上高1兆円、利益1000億円以上に持っていかないと世界で戦えないと思っている。そのためにもM&Aやホテル展開に資本を投下しないといけない。

 ホテルは3年で最低でも100軒くらいに増やす。今は10軒程度だが、すべて成功してノウハウもたまった。「変なホテル」からレジャーホテルの「ウォーターマーク」まで、マネジメントのノウハウができあがったといっていい。

 100軒になった際の客室数は、1軒が大体100室から200室なので、150室とすれば1万5000室だ。大体3年くらいで達成できると思う。今年から続々とホテルを展開していく準備が整っている。3月には舞浜が始まり、その後は蒲郡、大阪、台湾、上海と続く計画だ。

 100軒の体制では海外の施設の方が多くなるだろう。ブランドの比率でいえば、70%程度が変なホテルとなる想定だ。非常に競争力のあるホテルなので、充分勝てると思う。