16年の宿泊業倒産は4件減の81件、負債総額は20%減の432億円
東京商工リサーチ(TSR)によると、2016年通年の宿泊業の倒産件数は前年比4件減の81件だった。負債総額は20.0%減の431億6000万円。東日本大震災関連の倒産は3件だった。
16年は、15年に多かった特別清算と民事再生の法的手続きがそれぞれ30.4%減の16件、42.8%減の4件と前年を大きく下回り、TSRでは震災以降の業績低迷を受けた旅館やホテルの事業再編は一段落したとの見方を示している。一方で破産は13.4%増の59件と増加した。
倒産原因別では「販売不振」が50件、「赤字累積」が14件で、これらをあわせた「不況型倒産」は全体の79.0%を占める結果となった。TSRによると、宿泊業の倒産は訪日外国人旅行者による需要増を背景に全体的に沈静化したものの、小規模業者のなかには未だに厳しさから脱することができず倒産するケースも見られるという。
大型倒産は、石川県の片山津温泉で「加賀観光ホテル」を運営していた相互開発事業(旧社名:加賀観光ホテル)が、負債総額約50億円で特別清算に。「加賀観光ホテル」は同社が新たに設立した会社に移管し、営業を続けている。
12月単月の宿泊業の倒産件数は4件増の12件で、負債総額は26.0%増の35億5400万円。東日本大震災関連の倒産はなかった。大型倒産としては長野県の駒ヶ根で「高原荘」などの運営などをおこなっていた駒ヶ根観光開発が、負債総額5億6000万円で特別清算の開始決定を受けた。
なお、16年の旅行業の倒産件数は1件増の27件で、負債総額は34.9%増の38億1800万円。12月単月の倒産軒数は前年の0件から1件に増え、負債総額は3100万円だった。旅行業の詳細は別途記載(下記関連記事)。