トップインタビュー:Booking.com日本地区統括のブラウンステイン氏
日本市場は好調に推移
17年はビジネス需要の取込強化
2016年は日本市場での展開をさらに強化したBooking.com。日本人と訪日外国人をターゲットに国内宿泊施設の利用促進に取り組んでおり、15年末には6800軒だった国内の取扱施設数を、今年内には1万軒にまで増やすことを目標に掲げている。今回は同社日本地区統括リージョナル・マネージャーのアダム・ブラウンステイン氏に、現在の日本国内における取り組みや来年の戦略について話を聞いた。
-16年の日本市場の動向についてお考えをお聞かせください
アダム・ブラウンステイン氏(以下敬称略) 今年は日本人の海外旅行と国内旅行、外国人の訪日旅行のいずれも全体的に好調だった。テレビCMやインターネットなどを活用したデジタルキャンペーンにより我々のブランドの認知度を高めたことで、日本人のお客様が増加したことをとても嬉しく思う。
特に、日本人の国内宿泊施設の利用者が1年間で大きく増えた。これまで国内宿泊施設の利用者は日本人よりも外国人が多かったが、今年は初めてその比率が逆転し、現在は6割が日本人、4割が外国人となった。
宿泊施設の契約件数も増加した。16年は取扱施設数1万軒を目標に活動しており、当初は非常に厳しい目標だと感じたが、ほぼ確実に達成できる見込みだ。
日本人が「Booking.comを利用しよう」と考えても、取扱施設の選択肢が少なければ、やはり利用してはもらえない。今年は「セカンダリーマーケット」と位置づける群馬、長野、岐阜、新潟などの宿泊施設が増えたため、お客様に喜んでもらえたと思う。
-取扱施設増に向けた今後の取り組みは
ブラウンステイン 17年も引き続き取扱施設数を増やしたいが、数だけではなく、バラエティに富んだ多様な種類の施設を取り扱いたい。例えば法制化に向けた動きが進む民泊については、規制が緩和されれば日本でのビジネスを本格化できると信じている。
我々は全世界で100万軒以上の宿泊施設を取り扱っているが、このうち50万軒以上はゲストハウスや「バケーションレンタル」に分類される。民泊を扱う上では利用者とオーナーの信頼関係が重要だが、これまで海外で成功してきた経験を活かして運用できるだろう。
日本政府は20年の訪日外国人旅行者数として4000万人を目標に掲げているが、4000万人をいかに受け入れるべきかを考える必要がある。既存の宿泊施設である旅館やホテルだけでなく、民泊も活用してバランスをとるべきではないか。