現地レポート:ウィーン、世界遺産の旧市街を街歩き
OS撤退もFIT市場拡大へ
便利な公共交通や「体験」アピール
オーストリア航空(OS)の撤退によりオフラインとなったオーストリア。当然ながら商品造成にも影響が出ると懸念されるところで、ウィーン在日代表部では従来型のツアーに加えFIT層の取り込みが重要になってくるとの考え。同部がこのほどフィンエアー(AY)と共催したFAMツアーでも、FITでの街歩きの可能性が提示された。
OS撤退もFITは増加傾向、成長の活路に
ウィーン観光局の発表によると、日本人宿泊数は4月から8月までは約4.5%減の11万7576人で推移しており、7月と8月は1.7%増と3.4%増となり、わずかではあるが15年11月以来のプラス成長に転じていたところ。しかし、OSが撤退した9月は26.7%減、10月は15.4%減と2桁の減少が続いてしまっている。
こうした中で、現地ツアーオペレーターによると団体旅行は減少しつつあるもののFITが増加傾向といい、ウィーン在日代表部アシスタントマネージャーとして観光を担当する福田明子氏も「特に20代から40代の若年層へのアプローチを強化していきたい」とFIT市場の開拓に意欲を示す。
また、直行アクセスが失われたオーストリアやウィーンへの需要の取り込みに積極的なのがAY。ヘルシンキを経由してウィーンへ移動すると、トランジットを含めても成田から合計14時間30分程度で到着可能だ。
参加した旅行会社からは、治安の良さは販売しやすさに繋がるとの声があったほか、歴史的建造物が多い町並みや、カフェのおしゃれなケーキなどは写真映えが良く、ソーシャルメディア向きで若年層の心にも響くとの意見も聞かれた。
歴史を感じさせる石畳、街全体が中世ヨーロッパ
FITがターゲットであっても、ウィーン観光を代表するスポットは2001年に世界遺産登録された「ウィーン歴史地区」だ。団体旅行では旧市街の観光スポットをバスでまわることが多いが、そのコンパクトさから街歩きを楽しむことも十分に可能だ。
旧市街でもひときわ目立つのは1区にあるシュテファン寺院で、オーストリアでは最大のゴシック建築物。モーツァルトの結婚式と葬儀が執りおこなわれた場所としても有名で、裏にはモーツァルトが25歳から10年間住んでいたアパートが博物館となっている。
また、街歩きでおすすめしたいのは市民庭園(フォルクスガルテン)と王宮庭園(ブルクガルテン)。このうち市民庭園には400種のバラが植えられており、5月から10月の時期に目を楽しませてくれる。また、バラの木は5年間360ユーロで「買う」ことができ、名前付きの立札を付けてくれる。
さらに、11月半ばからクリスマスまでは、あちこちでクリスマスマーケットが開催されているのも特徴。市庁舎前のマーケットはウィーン最大で150を超える店が立ち並ぶほか、4500平方メートルのアイススケートリンクや高さ32メートルのツリーなども設えられている。