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トップインタビュー:コスタクルーズ日本支社長の糸川雄介氏

16年日本発着クルーズは好調に推移
17年は期間延長、変動制“風”料金に挑戦

 イタリアのカジュアルクルーズ会社であるコスタクルーズは今年の7月から9月まで、福岡、舞鶴、金沢、境港を巡る5泊6日の日本発着クルーズを「コスタビクトリア」(総トン数:約7万5000トン、乗客定員:2394人)で計10本運航した。自主運航での日本発着クルーズは初めての試み。2017年も日本海の港を巡る日本発着クルーズを継続する予定で、運航期間は4月から10月までに延長し、新たに函館やウラジオストクなど6港に寄港する。本数も計32本に増やし、4泊5日から7泊8日までの5種類のコースを設定した。日本支社長の糸川雄介氏に、今年の実績や来年の見通しなどについて聞いた。


-自主運航の日本発着クルーズを開始した経緯を教えてください

糸川雄介氏(以下、敬称略) ここ数年で中国のクルーズ人口が大幅に増加し、アジアに配船される客船が増えたことで、日本発着クルーズを実施するチャンスがやってきた。また、我々は旅行会社による日本発着のチャータークルーズを13年から実施しており、こうした機会を活かして日本人の趣向や特性をリサーチしてきた。リサーチの結果を踏まえて「今がタイミングだ」と思い、今年から自主運航を開始した。

 16年の日本発着クルーズの乗客数は計1万8000人で、そのうち日本人は1万5000人、外国人は3000人。昨年11月に発表した日本人の目標は、乗客定員の約60%にあたる1万2000人で、後に1万4000人に上方修正したが、その目標以上の結果となった。今回のターゲットはファミリー層やクルーズ初心者。乗客の6割強が家族や3世代の旅行となった。また、乗客の7割はクルーズ初心者だった。

 好調の理由として、夏休みに運航したことや、5泊6日の短期間のクルーズで料金が手ごろだったことが挙げられる。大人2名と同じ部屋を利用する場合に、13歳未満の子供を2名まで無料にするキャンペーンも大きな効果があった。

 また、今回のクルーズでは終日航海日をなくした。リピーターからの人気は落ちるが、クルーズ初心者にとっては、船内の過ごし方に迷う終日航海日がないことがハードルを下げた。クルーズ会社にとっては売上が期待できる終日航海日をなくすことは自分の首を締めることにもなるが、日本でクルーズ初心者を取り込むことに徹した。

 終日航海日をなくしたことで、例えば翌朝の入港時間が早い場合は、前夜のカジノやビンゴ大会の集客は悪くなった。一方、若い乗客が増え、アルコールの売上が増えるというプラス面もあった。


-今年設定したコースの反応はいかがでしたか

糸川 発着地が福岡、舞鶴、金沢、境港と、首都圏や関西圏からは遠いため、当初は旅行会社から「集客に苦労するのでは」という反応が多くあった。しかし、首都圏から新幹線で金沢に行き、前泊して乗船、あるいは下船した後一泊して金沢を観光する方法もある。また、舞鶴は京阪神から車で1時間ほど。中部や四国からドライブ&クルーズで乗船するお客様もいるなど商圏は広い。

 ヨーロッパでは当たり前になっているが、コース上の各港で乗下船ができる「インターポーティング」により、商圏が広がったと思う。福岡は九州、舞鶴は関西、金沢は中部・関東と、日本の大きな市場をうまく取り込むことができた。また、金沢発着クルーズはこれまでなかったので、石川県でも盛り上がったようだ。金沢からの乗船は北陸3県からのお客様が半数強を占めた。来年に向けては、バスや車などの移動手段とあわせた旅をさらにアピールし、商圏を広げていきたい。